日本高野連は20日、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕、甲子園)の中止を決定した。大阪市内の日本高野連事務局でオンラインでの運営委員会の後、理事会で正式決定した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で49代表をそろえることも、移動、宿泊を伴う全国大会の開催も難しく苦渋の決断となった。夏の甲子園大会中止は米騒動の1918年、戦争悪化の41年に続いて79年ぶり3度目。

午後6時からオンライン記者会見に出席した渡辺大会会長は「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、選手や関係者の安全を確保するために、49の地方大会、甲子園大会ともにに中止せざる終えない」と話した。理由としては全国で約3800校が参加し約250球場を使用する地方大会の感染リスクを抑えることは極めて厳しいこと。ボランティアで募っている役員や審判委員が十分に確保できないこと。医療スタッフの球場在駐が難しいことなどが説明された。

また、休校処置による夏休み短縮の動きで、学業への支障がでることも理由の1つとなった。さらには大会開催には選手や関係者の移動、宿泊などが伴う。全国から甲子園に集結し、また地元に戻るという行動範囲の中で「感染リスクは避けられないという判断に至った」と説明した。

晴れの舞台を目指していた球児たちには「夢を絶ってしまって無念でなりません」と言葉を投げかけた。また、球児を支える指導者や保護者など関係者には「(開催の)期待に応えられなかった。心苦しく、残念に思っております」と話した。

高野連の八田会長は球児に向け「苦渋の決断をお伝えする悲しい日となった。まさしく断腸の思いです」と話した。教育の一環上、安全の確保が最優先とし「安全が担保されている情勢にない」と判断。改めて「みなさんが球児という栄光は永遠に輝いている。自信と誇りを胸に、新たな第1歩を踏み出して下さい」とエールを送った。

地方大会の開催も中止を決め、各都道府県による独自の大会開催について八田会長は「自主的な判断にお任せする」と述べた。開催にいたっての相談などは応じるとし、専門家の知見やアドバイスも伝えるとした。渡辺大会会長は財政面での支援も「可能な限りで支援できれば」と話した。

39の都道府県で緊急事態宣言が解除となったが、大会中止決定には新型コロナとの長期的な付き合いも理由となった。八田会長は「(感染の)第2波、第3波は必ず起きる。終息する見込みは立たず(宣言の)解除が進んでも2波、3波と長期的な戦いとなる。球児の安心、安全に重点を置くと、解除されたからといって開催という議論ならなかった」と説明した。

新型コロナウイルスによって、今春の選抜大会も史上初の中止に。全国9地区の春季大会、47都道府県すべての春の大会(沖縄は準々決勝後打ち切り)も取りやめとなっていた。