慶大が粘る早大を振り切り、4連勝として2季連続優勝に王手をかけた。3-3となって延長に突入。タイブレーク(無死一、二塁から攻撃)採用の10回、慶大は、代打の代打で出場した橋本典之外野手(3年=出雲)が右中間三塁打して2者をかえし、そのまま逃げきった。16日の法大戦に勝てば、5戦全勝で優勝が決まる。早大は早川隆久投手(4年=木更津総合)が力投したが、8回3失点で降板。2勝目を逃して優勝の可能性が消えた。

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慶大の橋本典がバットを振り抜くと打球は右中間を割った。延長10回無死二、三塁。一気に三塁を陥れて勝ち越した。橋本典は「食らいついていった。シンでとらえられたと思います」と価値ある一打を振り返った。

タイブレーク採用のこの回、先頭打者への2球目が捕逸となった。無死二、三塁と場面が変わって堀井哲也監督(58)は「代打の代打」に橋本典を指名した。「バントで送ったあと(橋本典を)どこで出すか、と思っていた。『今、何がベストなのか』をいつも考えています」と話した。

13日の明大戦、代打で2点適時打を放っていた。もっとも開幕から2試合は5番左翼で先発した選手だった。1安打しかできず、スタメンを外された。「調子が悪い中で監督からアドバイスをもらいました。具体的にはちょっといえませんが」。法大戦を控え、橋本典はその中身までは口にしなかった。

試合前には堀井監督の恩師でもある故前田祐吉氏の野球殿堂入り表彰式が行われた。「いい報告ができるか、勉強してこいといわれるか。明日、終わってからです」。同監督がこういって引き揚げた。【米谷輝昭】