巨人の「KAZU」は試合終了の“ホイッスル”をベンチで聞いたが、自身3連勝で優勝マジックを28に減らした。田口麗斗投手(25)が9回途中3失点の好投で5勝目を挙げた。9回1死から2ランを浴び3年ぶりの完投勝利は逃したが、8回まで1失点と好投。プロ入り時から掲げる200勝に向け、1年でも長くマウンドに立ち続ける。

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口を真一文字に閉じ、悔しそうにベンチから戦況を見つめた。「KAZU」は9回1死一塁、広島ピレラに2ランを浴び降板。あと2死まで迫っていた3年ぶりの完投勝利を逃し「全く意識してないわけではない。前回も回の途中で代わったので、投げきりたいという気持ちはあった」と悔やんだ。

東京ドームから20キロほど離れた川崎市の等々力陸上競技場では、横浜FCの「キング・カズ」こと三浦知良がスタメン出場。53歳6カ月28日でJ1最年長出場記録を更新した。サッカー好きの田口は、昨オフに行った初の単身自主トレでは心肺機能を高める効果のある「レブナマスク」を導入。マスクをつけてトレーナーとともにサッカーボールを追いかけた。

サッカー界のレジェンドのごとく自身も野球界で輝くため、プロ入り時に200勝という大目標を掲げた。昨季は2試合を除き中継ぎ登板。55試合に登板しチームのリーグ優勝に貢献したが、200勝という目標には足踏みとなった。先発再転向となった今季、菅野、戸郷に次ぐ5勝目をマークし、左腕の柱となりつつあるが「まだまだ柱って認めてもらえてない。結果を残さないとローテに残れない」と慢心はない。

5回以降はペースを上げ8回まで無安打で駆け抜けた。原監督は「中盤ぐらいから尻上がりに良くなって、まあ、球数もね、何とか完投という風に思ったんですけれども。でも、ナイスピッチング」とたたえた。田口は「最後打たれましたけど、中盤からイメージしていた球を投げられた。継続していきたい」。カズばりに長くプレーして目標の200勝を達成するためにも、巨人の「KAZU」は腕を振り続ける。【久永壮真】