東大は接戦に持ち込むも敗れ、今季を0勝9敗1分けの最下位で終えた。17年秋から続く連敗は、引き分けを挟み56まで伸びた。

大学ラストゲーム。3点を追う9回2死走者なし。主将の笠原健吾二塁手(4年=湘南)の打球は中堅へのフライだった。さばさばとした顔。笑みもこぼれた。涙ぐむ玉村主務とともに、左翼スタンドの応援団へあいさつに向かった。

「感情を出さないようにしようと。最後まで応援してくれた方たちへのあいさつが残っていたので。最後までチームの代表としてあるべき姿を考えて、ああなりました」

こみあげる感情を抑えたゆえの笑顔だった。

試合に出始めた1年秋からチームの連敗は始まった。笠原自身が出場した全50試合は、1度も勝てないまま終わった。善戦、惜敗はあったが「春の慶応戦(4-5)や、この秋の立教戦(1-1)も、はたから見たら勝利まであと1歩かも知れません。でも、グラウンドに立っていると、まだまだ勝利までの距離はあると感じました」と打ち明けた。

新型コロナウイルスの影響で、15試合のみの1年だった。後輩たちへのメッセージを問われると「15試合から何かしら感じてくれたら。勝つまでの距離はまだまだと言いたい。あと1歩になって勝ちを意識し、体が硬くなってチャンスを手放した。練習から神宮を意識しても、足りないものがある。目の前の1球、アウト1つ、1点を意識してやらないといけないと伝えたいです」と答えた。