中日大野雄大が初の沢村賞　菅野との一騎打ち制す

故沢村栄治氏の功績をたたえ、シーズンで最も優れた先発完投型投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会が23日に都内ホテルで開かれ、中日の大野雄大投手（32）が初受賞した。

開幕戦から13連勝のプロ野球新記録を樹立した巨人菅野智之投手（31）との一騎打ちとなったが、大野雄は45イニング連続無失点を達成したことに加え「防御率」「完投数」「完封数」「投球回」で12球団トップの好成績を残したことが評価された。

オンライン会見に臨んだ堀内恒夫選考委員長は「例年になく長い討議があった。昨年は該当者なしだったが、今年は特別な年。試合数の少なさ、日程の過密などを加味し、ベストワンの投手を選ぼうとなった」と説明した。

新型コロナウイルスの影響で開幕が約3カ月も遅れて120試合制になるなど、異例のシーズンだったことも考慮された。大野雄がクリアした選考基準は、全7項目で「防御率」「完投数」「勝率」の3項目。堀内委員長は「数字的には例年より低いのは間違いない。普通の選考基準なら該当者はいません」と認めたうえで「特別な日程で、特別な試合を消化してきた。コンディションを作るのに非情に苦労したと思う。その中で出た数字は尊重しなければいけない。選考委員の皆さまも2年連続該当者なしはだめだよね、沢村賞はベストワンの投手に与えるんだよということで、選考基準を各委員の中で下げていることを加味しているのを分かっていただきたい」と説明した。

自粛生活や感染拡大の恐怖など不安定な日常の中で10完投するなど好成績を残した大野雄は、最も優れた先発完投型の投手に送られる「沢村賞」にふさわしいとの見解でまとまった。

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◆選考基準（各項目での大野雄－菅野の今季成績）

（1）15勝以上（11勝－14勝）

（2）150奪三振以上（148－131）

（3）10完投以上（10－3）

（4）防御率2・50以下（1・82－1・97）

（5）投球回200以上（148回3分の2－137回3分の1）

（6）登板25以上（20－20）

（7）勝率6割以上（6割4分7厘－8割7分5厘）

※「日本版クオリティー・スタート（仮称＝QS）の達成率」も考慮の対象

◆沢村賞選考委員（敬称略、就任順）平松政次、堀内恒夫、村田兆治、北別府学（療養中のため欠席。規定により書面を提出して選考に参加）、山田久志（日刊スポーツ評論家）