野球漫画「ドカベン」「野球狂の詩」などで人気を集めた漫画家の水島新司さん(81)が1日、所属事務所を通じて引退を発表した。球界内外問わず、プロから子どもたちまで幅広い世代にファンが多く、影響力は絶大。18年8月に発表した「あぶさん」の読み切りが最後の作品となった。58年のデビューから、63年間の執筆生活は“ゲームセット”となったが、決断した詳しい理由は明らかにしていない。

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▼江川卓氏(高校、大学時代から水島氏と親交)「法大のとき、先生は私のために、小金井の自宅の庭に高さ30メートルほどのテレビアンテナを立ててくれました。当時UHF局しか放送がなかった6大学の中継を録画するためで、私は捕手の袴田(英利)とともに試合後、先生のお宅にお邪魔してその日の試合のビデオを見ながら“反省会”を開くのです。それは、毎試合ごとに行われました。私の大学通算47勝は先生宅のこのアンテナのおかげだと、今でも思っています。作新学院時代に甲子園に出場したとき、先生が宿舎に訪ねて来られ、キャッチボールをしたこともよく覚えています。先生は言わずとしれた南海ファン。よく『ホークスに来い』と言われたものでした」