右肘靱帯(じんたい)を痛めてリハビリ中の日本ハム斎藤佑樹投手(32)が9日、現在の率直な心境を明かした。札幌市内にある球団事務所で契約更改交渉に臨み、ほぼ減額制限(年俸1億円以下は25%)ギリギリの350万円減、年俸1250万円でサインした。契約更改後の会見では今後の野球人生を左右する故障を抱えた状況で、さまざまな思いが去来したことを吐露。栗山英樹監督(59)からも背中を押されて臨む背水の来季へ向けての思いを語った。(金額は推定)

《一問一答はこちら》

斎藤は今、右肘靱帯損傷の大ケガと向き合っている。今季は10年目で初めて1軍登板なし。3年連続未勝利、現状は投げられない中で11年目の契約を結んだ。神妙な語り口で、現在の心境を明かした。

斎藤 自分自身の状況と置かれている立場を、ちゃんと把握しているつもり。ただ、それでもやっぱり「野球はやりたい」という気持ちが強かった。

現役引退は、全く考えていなかった。一方で、さまざまな気持ちが、心の中を駆け巡っていた。

斎藤 野球をやりたい思いはありました。場所を問わず、ということを考えるんだったら迷いはなかった。ただ、やっぱりファイターズに対しての気持ち、あとはファンの方に対しての気持ちを強く思っていた。

活躍を期待し続けてくれている人たちへ、結果で示すことができていない、もどかしい現実がある。プロ野球は結果が全て、ということも承知している。「場所を問わず」と表現したように、自身の中では戦力外も覚悟していたはずだ。

既に右肘のリハビリに入っていた11月上旬。栗山監督と直接、話す機会があった。モヤモヤした思いを、ぶつけたという。指揮官からは「肘を治して、もう1年、グラウンドに出て、必死になって、泥だらけになって、やってみろ」と言われた。覚悟を決めた。

斎藤 僕自身は場所を与えられた以上は、応援をしてくれる方がいる以上は、精いっぱい自分のできる限り努力をして、グラウンドでチームに貢献できるよう頑張ることが僕の今のやるべきことかなと思います。

右肘はシーズン終了後にPRP療法などを実施。痛めた当初は手に力が入らず、日常生活にも影響が出ていたが、現在は「痛みは特にないです」。今後は回復具合を見ながら、キャッチボール再開を見極めていく。リハビリ過程の中で「足の指の先から、手の先まで」と体作りも見直す。背水の11年目へ、もうやるしかない。【木下大輔】