社会人野球の名門に、フレッシュな高校生コンビが加わった。

神奈川・川崎のENEOSグラウンド。16日は紅白戦が行われ、先攻・紅組の8番指名打者には度会隆輝内野手(18=横浜)が名を連ねた。4回1死一、二塁、右腕・柏原から中前適時打を放った。残りの打席は内野ゴロ3つだったが、しっかり振った結果。「1安打でしたが(野手に)捕られた打球も良かったと思います」と、人懐っこい笑顔で話した。

広角に打つ打撃で、昨秋ドラフト候補に挙がった。だが、チームメートの松本(DeNA3位)木下(巨人育成4位)の両投手が指名を受ける中、最後まで名前は呼ばれなかった。「下を向いててもしょうがない。すぐに次のステージに進もうと、切り替えました。前を向かないといけないし、向くしかないです」。ENEOSの門をたたいた。

練習に加わって1週間ほどだが、早くも、大久保秀昭監督(51)は「打撃に関しては、非凡なものを見せている。可能性を感じる」と話す。この日は途中から二塁守備にも就いた。「先輩たちのプレーから学ぶことは多いです。レベルの高い環境で見習っていきたい。走攻守、足りないもの全てを一流にして、パワーアップしたい」と、再びドラフト解禁となる2年後の秋へ向け、己を磨いていく。

もう1人の高校生は、若杉晟汰投手(18=明豊)だ。2年時の19年センバツで4強まで進んだ最速144キロ左腕。昨夏前に左太もも裏を肉離れしたが、ランニングができるまで回復した。春先の実戦デビューを目指している。

度会と同じく、昨秋ドラフトではプロ志望届を出しながら、指名がなかった。「悔しかったですが、エネオスで経験を積んで、プロに行きたい。プロへの思いは、人生で一番強くなりました」と、こちらも前を向く。2年後へ向け「投球術を身につけたい。球速も、150キロを投げたい」とスケールアップを目指す。

度会の横浜(神奈川)と、若杉の明豊(大分)は、19年センバツ1回戦で対戦。若杉の降板後に度会が代打に立ったため、直接対決はなかったが、かつて争った2人が同僚になった。

「(若杉は)いい投手だと思って見ていた。今は味方。不思議な感じがしますが、一緒に頑張っていきたい」(度会)

「(度会は)1年の時から試合に出ていて、中学の時から打撃がすごがった。縁を感じます」(若杉)

互いに、切磋琢磨(せっさたくま)していく。【古川真弥】