阪神井上一樹ヘッドコーチ(49)が沖縄・宜野座キャンプで日刊スポーツのインタビューに応じた。矢野燿大監督(52)と共通の師である故星野仙一氏の魂を継承し、16年ぶりの優勝を目指す。【取材・構成=磯綾乃】

-矢野監督とともに戦う2年目。ヘッドコーチになって意思疎通はより密に

密は禁止だけどね(笑い)。密は禁止だけど、そっちの密は常に意識して、やるように。そこの密な連携は意識して。

-矢野監督も井上ヘッドも星野監督の下でプレー。目指すお手本か

それはもう、矢野監督の中でも俺の中でも、もうギラギラしてる星野仙一監督、でも優しい星野仙一監督というところは全部知ってるわけで。でもまね出来るものと出来ないものってやっぱりある。そこは俺も重々承知しているし、矢野監督も重々承知していると思うから。俺らでも出来るよね、というところは参考にさせてもらう。いやーそこは手届かないよね、というところはいっぱいある。だからそこの区別とか分別はちゃんとしてるつもり。でもいいところはものすごく与えてもらってるし。あの人に近づきたい、ああいう人になりたいというようなものは俺も持ってるけど、矢野さんも持ってるんじゃない。

-まねできるところは

例えば、意識してるのはあるじゃん。阪神のみんなって俺もだけど、ケント、セイヤ、ユウスケ、下の名前で呼ぶじゃん。これは星野さん特有なのよ。例えばそこで、「井上!」で別に名字でもいいんだから。例えば俺も、井上って呼ばれていてから、カズキって呼ばれた瞬間ってあったのよ、星野さんに。その時にやっぱり距離が縮まったなって。だから距離を縮めて、一生懸命やってるお前に対して、ちゃんと見てるよ、というような距離感。それはすごく縮まるし、そこは多分矢野監督も星野監督のまねじゃないけど、見習ったっていうところは一番分かりやすいと思う。

-お手本にしながら、今流、矢野監督流にアレンジするということか

まあ、アレンジですよね。「家族あってのお前だぞ」とか「父ちゃん母ちゃん連絡したか」とかそういうのは、確かにそういえば、星野さんもそんなこといっつも言ってたなみたいな、そういうのは見習ってる。

-勝負に対する姿勢も

星野さんはどちらかというと勝負に対して、すごいスパルタだったじゃない。でも、情に厚い人。矢野さんは俺に言わせれば、優しさ、情には厚いけど、スパルタにはちょっと届いてないかなっていうところがある。でもそれはそれで、矢野さんのいいところだと思ってるから。そこはあえて消す必要はないから。だから、カリスマ性があってスパルタで優しさがあってというものを、ものすごく星野さんは持ってたけど、矢野さんも優しさであったり、情というものに関しては、似てるなあとは思う。