東海大が白星で再出発を飾った。

昨秋、部員による大麻使用の疑いが浮上し、無期限活動停止。その後、複数部員による使用が確認され、監督も交代。2月1日から井尻陽久新監督(68)の下、活動を再開した。1カ月がたち、この日が最初のオープン戦だった。

東都2部の実力校を相手に、12安打8得点。相手のスキを突く走塁で得点を重ね、走者を進める右打ちも随所に見られた。井尻監督は「ある程度、やって来たことが出たと思う」と納得の表情だった。

練習から積極走塁を掲げ、短距離系のメニューを導入。走る意識を求めた。試合中は「もっと積極的に走ろう」と指示したぐらい。「監督なんか、そんなにサインはないんだから」。自発的なチーム打撃で得点を重ねたことを評価した。

厳しさも忘れなかった。8-2で迎えた9回、2死三塁でゴロを一塁手がファンブルした。捕球し直して、そのまま一塁を踏めば試合終了だったが、投手のベースカバーを待ってしまった。打者走者の方が先に一塁を駆け抜けたため、失点を許す失策となった。直後に井尻監督は一塁手を交代させた。「論外。自分でファーストを踏めばアウトでしょう。本人が、どう反省しているか。選手には許されることと、許されないことがある。そこは、はっきりさせないといけない」とピシャリと指摘した。

4番を任された斎藤健成外野手(3年=桐光学園)は「あの回は、ベンチの声もなかった。けん制悪送球もあり、気の緩みが出ていた。(交代で)締まりました」と受け止めた。代わって一塁守備に就いた門馬大主将(3年=東海大相模)は「オープン戦を通してなくさないといけないミス」と話した。

久しぶりにユニホームに袖を通した井尻監督。「(代表コーチを務めた96年)アトランタ五輪の決勝以来ですよ。これでいいの? て選手に聞いた」と笑って振り返った。再スタートの1歩を刻んだ。【古川真弥】