取手先発の坂本慎太郎(2年)と佐倉・洗平比呂(3年)の投げ合い。4回まで抑え込まれていた取手の打線に火がついた。兆しは0-1の5回表、2死から3番坂本の左前打を皮切りに4連打を放って同点とした。その裏1点を勝ち越されたが、6回表1死後、9番山藤隼斗(3年)の左前打からつながる。3連打で1死満塁とし3番坂本の右前適時打で同点。4番直井瞳和(とわ)主将(3年)の左前2点適時打と5連打で勝ち越した。スクイズでこの回4点目を奪って一気に佐倉を突き放した。投げては坂本が佐倉打線を封じ、決勝進出を決めた。

石崎学監督は「うちが完ぺきにやって、相手がミスをしないと勝てないと思っていた」という。前半打ちあぐんだが「(洗平は)スピンが効いているので、速めに始動して、自分が思ったより上を振りなさい、引っ張るように打ちなさいと指示しました。そうしたら当たり始めた」と振り返る。昨秋9月に新チームになり、公式戦を含めて31勝2敗でここまで来たが、2敗はいずれも昨秋の佐倉戦。「3度目の正直」で勝利を手にして「全国の舞台で勝てるとは…」と、言葉に詰まった。前日の準々決勝を最終7回に吉田大吾(3年)の逆転サヨナラ2ランで突破した勢いを持ち込んだ。

勝利の立役者はまず坂本。「納得いく投球でした。ストレート、カーブがいつもよりコントロールがよかった。力で抑えるのではなく、コースを狙ったのがよかった」と振り返った。勝ち越し打の直井主将は「いい感じでスイングできました。決めてやろうと思って真っすぐを狙って打席に入りました」と笑顔を見せた。全国選抜大会では2011年に優勝している。10年ぶりの「日本一」に向け、直井主将は「強い気持ちでぶつかって優勝したい」と話した。