「時の人 ぺこぱに力 もらったよ」。ロッテ山口航輝外野手(20)が、本拠地ZOZOマリンのお立ち台で俳句を披露した。同点の8回に決勝の3号ソロを放ち、5連勝(2分け挟む)に貢献。チームは3位タイに浮上した。13歳の時に伊藤園主催の「お~いお茶 新俳句大賞」で佳作特別賞を受賞。始球式を務めたお笑いコンビ「ぺこぱ」と絡めた一句を堂々と詠み、ファンを歓喜させた。

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本拠地ZOZOマリンのお立ち台で、山口が「独演会」を開演した。決勝の3号ソロでチームを5連勝に導き、三度目の正直で実現した“初舞台”。インタビュアーの「俳句で初のヒーローインタビューを締めていただきます」が合図だった。

力んだのか「『時の人 ぺこぱに…』、あっ、すみません」とかんだが、インタビュアーから助け舟。「こういう時、何て言うんでしたっけ? ぺこぱさんでしたら」と言われ、ぺこぱの持ちネタ「時を戻そう」で仕切り直した。

「時の人 ぺこぱに力 もらったよ」

試合前、お笑いコンビ「ぺこぱ」が始球式を務めた。山口は打席に立ち、松陰寺太勇の投球をハーフスイング。球審のシュウペイは「ボール」と判定し、松陰寺太勇が「時を戻そう」とリクエストした。爆笑を誘った「ぺこぱ」を入れ、旬の一句を詠んだ。

プロ3年目。秋田・明桜では日本ハム吉田輝星とライバルで、しのぎを削った。強心臓が売りで、この日も同点の8回にセットアッパー宮西の直球を強振。持ち味である逆方向の右翼席に運んだ。プロ初本塁打は西武高橋、2本目は楽天岸。球界を代表するリリーフ左腕からも放ち、「大物キラー」を体現した。

13歳の時に伊藤園主催の「お~いお茶 新俳句大賞」で佳作特別賞を受賞した。今季は節目などで披露。伊藤園からはプロ初本塁打を祝し、ペットボトル5ケースを贈られた。「『お~いお茶』のラベルに使っていただけるような、いい俳句をまた考えたいなあと思っています」と誓った直後、お立ち台からこん身の1句を届けた。【久保賢吾】

◆山口航輝(やまぐち・こうき)2000年(平12)8月18日、大阪市生まれ。明桜では2年夏の甲子園出場。3年夏の秋田県大会ではライバルの吉田輝星(現日本ハム)を擁する金足農との決勝に敗れた。18年ドラフト4位でロッテ入団。昨年は2軍で全70試合に出場し、チーム最多の7本塁打、30打点。今季推定年俸560万円。183センチ、97キロ。右投げ右打ち。

<ロッテ山口の主な作品>

◆「ラグビーの 選手の体 湯気が立つ」

13歳山口少年の初作品。アスリートの熱気とお茶の湯気を比喩。

◆「ホームラン たくさん打つぞ 今年こそ」

1月30日、石垣島キャンプの直前に7年ぶり1句。

◆「下半身 鍛えまくって 膝笑う」

2月のキャンプ中、松中臨時コーチの猛練習を終わった後の取材対応にて。

◆「3月は 桜も咲くぞ 僕も咲く」

静岡でオープン戦1号。球場近く出身の漫画家さくらももこさんに引っかけたわけではなかった。

◆「まだ寒い 北の大地で 僕熱い」

札幌ドームでの名作。

◆「開幕だ 玄界灘で 大暴れ」

初の開幕1軍での1句。

◆「今度こそ マリンの台で 句を詠むぞ」

4月19日に披露。20日に夢実現。