創部4年目で念願の全国切符だ。18年創設の北海道ガスが航空自衛隊千歳に10-0、日本製鉄室蘭シャークスに2-1の2連勝で本大会初出場を決めた。今年2月就任の清水隆一監督(61)の改革が実を結び、2連勝で代表権を獲得する3チームの争いを制した。本大会(29日開幕、京セラドーム大阪ほか)の組み合わせは15日に決定する。

歓喜の塊ができた。第2試合、北海道ガス・大城祐樹投手(24=桐蔭横浜大)が最後の打者を投ゴロに打ち取ると、マウンド付近に顔をくしゃくしゃにしたナインが集結。清水監督は胴上げで計6回、宙を舞った。初の全国切符に、中林健吾主将(24=早大)は「チームみんなで1つになって、いい結果を残せたのはよかった」と声を弾ませた。

航空自衛隊千歳との第1試合は、新人左腕の海老原丞(じょう、22=仙台大)が3安打完封。打線は21安打10得点で大勝した。次の日本製鉄室蘭シャークス戦も4回に2点を先取し、大城が3安打1失点の完投。「初戦に海老原が最高の投球をみせてくれた。自分も完投しなきゃという気持ちでマウンドに行って、完投できてよかった」と胸を張った。

今年2月、清水監督が就任しチーム改革を遂行。コーチング会社を起業した同監督の意向で、リーダーシップを生む組織をつくるための研修を取り入れた。「強い個人の集合体が助け合って初めてチームワーク。とにかく個を強くしよう、個人がいかに強くなるかがチームとして強くなるための絶対条件」と言い続けた。技術面でも、前足の股関節を軸にした打撃理論を浸透させた。

社会人野球界で企業離れが続く中、道内20年ぶりの民間企業チームとして18年に誕生。今大会前も朝6時~正午まで全体で練習し、午後から個人練習と野球に専念してきた。創部時から在籍し初代主将を務めた東海林寛大(25=日大)は「早く(全国に)行きたいという気持ちがすごくあった。感覚的には遅い感じはする」と振り返った。

29日開幕の全国舞台が待つ。中林主将は「まずはどこが相手でも1勝というのを目標に頑張りたい」と、意気込んだ。【山崎純一】

<北海道ガス野球部の歩み>

◆加盟発表 18年3月、日本野球連盟北海道地区連盟が4月1日に発足するチームの加盟を発表。

◆創設 同年4月、バルセロナオリンピック銅メダルメンバー小島啓民監督を迎え、チーム発足。札幌市内で創部発表会を行う。

◆初の対外試合 同年6月に北海学園大と初めて対外試合(7イニング)を実施し、2-0で勝利。

◆初の公式戦 同年8月の結成記念大会1回戦でクラブチームの小樽野球協会を5-4で下し、初陣を白星で飾った。

◆室内完成 同年11月に札幌市内に室内練習場が完成。練習場棟は1807・60平方メートルで、内野とブルペン2列が入る。

◆都市対抗予選 19年5月、都市対抗道予選に初参戦し、1次予選敗者復活1回戦でTRANSYSに2-3で敗退。

◆補強選手 同年7月の都市対抗で日本製鉄室蘭シャークスの補強選手に米満凪内野手が選出、全国出場を果たした。

◆初の2次進出 20年9月、都市対抗道予選で初の2次予選に進出。リーグ戦1勝2敗で本大会出場ならず。

◆新監督就任 同年12月、熊谷組で指揮を執った清水隆一監督が21年2月1日付で就任すると発表。