阪神佐藤輝明内野手(22)が、「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク戦で、交流戦キングタイの5号を放った。6点ビハインドの9回、泉から右中間席へ3試合ぶりの今季通算15号ソロ。交流戦の新人では10年長野久義(巨人)の4発を抜く最多弾となった。直前3打席は先発和田に3三振し、チームは2戦連続大敗したが、これが規格外新人の意地。「柳田2世」と称される男が本家の前で怪力を発揮し、“公式戦初タイトル”を射程に捉えた。

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佐藤輝が、一振りに意地を込めた。6点ビハインドの9回1死走者なし。泉の内角139キロツーシームを懐まで呼び込み、完璧に捉えた。ソフトバンクに一矢報いる15号ソロが、右中間席に飛び込んだ。「しっかり自分のスイングを心掛けて、強く振ろうと思っていました」。一方的展開でも最後まで声援してくれたファンへの感謝をバットに乗せた。

3試合ぶりの1発でDeNAソト、オースティンに並ぶ交流戦トップの5本目。10年長野(巨人)の4本を超え、交流戦の新人最多記録となった。10年は24試合制で今季は18試合。試合数が当時より少ない分、記録的価値は高い。

「そこ(記録)に対しての意識はないですけど、1本でも多くホームランを打ちたいと常に思っているので、そういう意味ではうれしいです」

同じ右投げ左打ちのスラッガーで「柳田2世」とも称される。ソフトバンクとの3連戦最後の打席で、ようやく本家の前で1発が出た。「強く振るというところはすごい。盗めるところがあったら盗みたい」と対戦を楽しみにしていた。柳田は3戦で11打数3安打。佐藤輝は12打数4安打1本塁打で“超人対決”に勝利。何より、間近で生きた教材を見たことは、さらなる成長材料になったはずだ。3カード連続本塁打、5試合連続安打で状態も上向きだ。

転んでもただでは終わらない。先発和田の変化球に苦戦し、直前まで3打席連続空振り三振。NPB142勝のベテラン左腕に翻弄(ほんろう)された。同一投手からの1試合3三振は3月31日に広島床田に喫して以来、プロ2度目の屈辱だった。チームも前日の10失点に続いて8失点。「チームも自分もこのままでは終われないという気持ちがあった」。セ界首位チームの意地をぶつけた。

6本塁打でキングに輝いたオープン戦に続き、公式戦の“初タイトル”が見えてきた。交流戦残りは、敵地での日本ハム戦と楽天戦の6試合。特に楽天は涌井、田中将、そしてこの日ハーラートップの7勝を挙げた新人早川の3本柱の先発が予想される。セ首位を引っ張る佐藤輝が、パ首位の剛腕撃ちで、交流戦本塁打王を目指す。【中野椋】

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