首位阪神が2軍調整中だったメル・ロハス・ジュニア外野手(31)の緊急昇格を決めた。ヤクルト戦は守護神スアレスが同点の9回に4失点して今季初黒星を喫し、今回の甲子園6連戦で1勝4敗1分けと失速した。この間は1試合平均2得点と打線がパワーダウン。2位巨人に2ゲーム差まで迫られる中、昨季韓国で打撃2冠の両打ち助っ人に期待がかかる。

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低迷する打線の起爆剤として、ロハスが2日広島戦から緊急昇格する運びとなった。この日もわずか1得点。同点の9回にスアレスを今季初の3連投、3日連続でマウンドへ。しかし、疲れからか2死満塁を招き、代打宮本に160キロを左前へ落とされ、これが決勝の2点適時打となった。

「こういうことも起こりうる。ここまでよくやってくれている。打線が点を取れていないので、そこに負担がいく」

矢野監督は今季初黒星となったスアレスを責めず、低調な打線を敗因に挙げた。この負の流れを止めるのが、2軍で打撃好調のロハスだ。新型コロナ禍で来日が遅れ、5月8日に1軍昇格も10試合で打率0割5分7厘、1本塁打、3打点。昨季韓国・KTで47本塁打、135打点で2冠とMVPを取った打撃状態とはほど遠かったが、2軍で状態をしっかり上げてきた。

6月2日に出場選手登録を外れた後は5本塁打。同11日からの2軍ソフトバンク3連戦で3連発。この時には「今は理想とするスイングができている」と本人も手応え十分のコメントを残している。直近の6月30日広島戦(由宇)では4打数4安打。この日更新した自身のインスタグラムでは「I’M BACK!!(戻ってきたよ)」というコメントに両手を合わせる絵文字をつける意味深な投稿をしていた。

矢野監督はヤクルトに競り負けた試合後、「1年間の中で打線の状態が下がることはあるけど、そういう選手が複数いるので我慢かな」と話していた。中でも中野は自己ワーストの6試合、22打席連続無安打と苦しんでおり、「体的にもしんどくなっているところ」と技術面ではなく体力面を心配した。佐藤輝も3打数無安打で19号から7試合1発が出ていない。

2位巨人が勝ってゲーム差は4月27日以来の2に縮まった。その際は翌28日に1差に迫られた後、最大8差まで引き離している。6月25日からの甲子園6連戦は今季初めて1万人以上の観衆で埋まったが1勝4敗1分けと喜ばすことができていない。陽気なスイッチヒッターのロハスが打線に火をつけ、五輪中断期間までの残り12試合、なんとか首位を守り抜きたいところだ。

▼2軍降格後のロハス 1軍で21打席無安打と苦しむなどで10試合に出場したが、6月2日に抹消され2軍での再調整へ。同6日の中日戦で2ランを放つなど徐々に調子を取り戻し、同11~13日のソフトバンク戦では3試合連続本塁打。6月は19試合で打率2割9分、5本塁打、14打点と実力を示した。