杏林大は、右腕の石田成(たいら)投手(3年=小鹿野)が完封し、リーグ通算2勝目を挙げた。9回を117球で被安打1の8奪三振。最後の打者を直球で空振り三振に仕留めると、マウンド上で「よっしゃー!」と声を上げた。「後半にギアを上げる投球ができました。9回は監督から『気持ちで』と言われていたので、3者凡退に抑えられて自信になりました」と振り返った。

打線は、初回に2点を先制。6、7、8回にも1点ずつ追加点を挙げた。小俣大監督は「最初(1回)と最後(8回)に点を取るチームを目指そうと言って春から取り組んできたので、それができた。いい傾向が出ている」と話した。

石田は、4回まで相手打線を無安打に抑えた。ノーヒットノーランの可能性も見えていたが「意識すると(制球が)乱れてしまうので、まずアウト1つと思っていました」と笑顔。5回2死から初安打を許したが、気持ちは切れなかった。

無安打に抑えていたが、実は「序盤は自分のリズムを作れなかった」と反省。試合中にコーチのアドバイスで下半身の動きを修正し「終盤はリズムを作ることができた。9回を投げ切れたことで、いい教訓になりました」と話した。

高校時代は、地元の埼玉県蕨市を離れ、山村留学で秩父にある小鹿野に進学した。後輩たちは、この夏の県大会で強力打線を武器に3回戦進出。「やっぱり、結果は気になります」としっかりチェックし、パワーをもらっていた。濃い3年間を過ごした小鹿野の地名を背負い、大学野球界でも羽ばたく。