来秋ドラフト候補で最速148キロ左腕の大商大・伊原陵人投手(3年=智弁学園)が鮮やかな快投を披露した。

3回1死満塁のピンチで救援登板。右犠飛で先制されたが後続を断った。4回以降は本来の投球を披露。リードは1点だったが安定感は抜群だ。6回2死二塁では右打者の足元へのスライダーで空振り三振。9回も右打者の内角をえぐる速球を連発し、見逃し三振に片づけた。6回2/3を8奪三振無失点で「全体的にコントロールのばらつきが出ている。長いイニングを投げて感覚が戻ってきた。コースに投げることができた」と振り返った。

早くもスカウトが注目する存在だが夏は出遅れた。8月8日のオープン戦和歌山大戦で打球が左足甲を直撃。打撲で松葉づえの生活を3週間近く強いられ、本格投球を再開したのは約1週間前だという。富山陽一監督(56)は「病み上がりで、こんなに投げるのは久しぶりだった。1年生のときから投げている。強い性格で、みんなから信頼されている」と高く評価する。

1年後はプロからの指名も期待される立場だが、地に足がついている。伊原は「大学で日本一をとるのが1つの目標。達成して先のことを考えたい」と話す。6月の全日本大学野球選手権は2回戦で福井工大に敗れた。頂点への強い思いがにじんだ。【酒井俊作】