笑顔の連敗ストップだ。東大が3点差をひっくり返し、立大に逆転勝ちした。今春リーグ最終戦で法大に勝ち、17年秋から続いていた連敗を64でストップ。

そのときは選手から涙がこぼれたが、今回は笑顔満開だった。前日の1回戦も一時は5点リード。大型連敗で最下位がおなじみだった東大だが、3年以上続いた連敗の“呪縛”が解け、善戦を続ける。

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立大のラストバッターの打球が右翼阿久津のグラブに収まると、三塁側ベンチはワッと沸いた。みんな笑顔だ。開幕からの連敗を3で止め、当たり前の光景が広がった。春に64連敗で止めたときは泣きだす選手が大半。放心したような選手もいた。4番の井上慶秀内野手(4年=県長野)は「春に勝って、自信は間違いなくあります。4年間、勝てないんじゃないかと、変なプレッシャーがなくなりました。1試合1試合ものにしていこうという、あるべき気持ちになって戦えています」。呪縛が解けた。

もちろん、力そのものがついた。9安打7得点に、井手峻監督(77)は「やってきたことは一緒。センター方向に低いライナー」と基本の徹底を強調。逆転打がそうだ。3-4の7回2死二、三塁で井上慶が栗尾から決勝の2点適時打。低い打球で中前へ運んだ。直後、自軍ベンチから「ベルト!」と声が飛んだ。四球で出た2回、けん制で頭から戻った際にベルトが切れた。「ウエストが間に合わなかったからではありません」。体重94キロの主砲はおちゃめに言った。チームの雰囲気は上がっている。

前日は5点リードを逆転された。寮に戻ると、選手だけで「負けたけど、いい展開だった。明日もそうなる。頑張ろう」と意思統一。その通りとなり、笑顔があふれた。ただ、3安打3打点の井上慶は「心で号泣してます」と打ち明けた。感情を爆発させる機会はまだまだ続く。【古川真弥】