高校ではベンチ外のサイド左腕が北陸で夢をつかんだ。日本ハムからドラフト6位指名を受けた金沢学院大・長谷川威展投手(22)が20日、石川・金沢市内の同大で指名あいさつを受けた。ポスト宮西候補は「プロになる実感が沸いてきた」と笑顔を見せた。

高校までは無名の苦労人だった。母校の花咲徳栄で2年時に野手から投手に転向したが、最後は「悔しい思いをしました」。同期には卒業後プロ入りした西武西川や中日清水ら、1学年下には2年生ながら4番を務めて18年ドラフトで日本ハムへ進んだ野村もいた。逸材ぞろいのチームは3年夏の甲子園で全国制覇も、その瞬間はアルプススタンドにいた。県大会で1試合だけ救援登板したが、そこで高校野球は終わった。「高校では試合にも出られていなかったので、大学からの誘いもほとんどありませんでした」。その中で声をかけてくれたのが金沢学院大だった。

希少なサイド左腕という特長を、愚直に大学で伸ばした。「拾っていただいて、伸び伸びとプレーできる環境も作ってもらえました。そのおかげで成長できた」と、最速は151キロとなり、スライダーやスラーブも武器にしてリリーフとして活躍。担当の熊崎スカウトが「球の回転数が高い。パ・リーグは左の強打者が多いので、そこを抑えてほしいし宮西のポジションも目指してほしい」と期待するほどの選手に成長して夢の舞台へたどり着いた。

ドラフト後に西武西川や中日清水らから祝福を受け、同僚となる野村からは「また一緒に野球ができると思うとうれしいっすね」と電話をもらった。また、同大から楽天5位で松井友飛投手(22)も指名を受け、同一リーグでしのぎを削ることになる。「つらい時も輝いている時も、ともにしてきたのでうれしい。でも、先に活躍されると悔しいと思うので、開幕1軍目指して頑張ります」と闘志を燃やした。高校時代の悔しさを糧に成長した男が、父親の出身地でもある北の大地で躍動し、母校へ恩返しする。【小林憲治】