今季限りで現役を引退する巨人野上亮磨投手(34)は、17年3月に元モーニング娘。の石川梨華さんと結婚後、誕生した2人の息子とともに家族の存在を力に変えた。

「これから何があっても、2人で乗り越えていきたい」と決意し、新婚で迎えた17年シーズン。4月8日のソフトバンク戦(メットライフドーム)、妻もスタンドで観戦する中でシーズン初勝利を挙げた。当時の記事から振り返る。

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新婚初勝利を脱力でたぐり寄せた。西武野上亮磨投手(29)がソフトバンク打線を6回1失点に抑え、チームの連敗を3でストップ。3月13日に結婚した新妻のタレント石川梨華がバックネット裏で見守る中で白星を手にし、野上は「よかったですね。(連敗を止める)1勝できたことはでかいです」と笑顔でうなずいた。

直球がさえた。3回までに奪った5三振の決め球は全て真っすぐ。最速146キロの球威で流れをとめたのは、オフからの取り組みの成果だった。勝負どころでの過剰な力みを解消すべく、腕が一番高く上がるトップの位置までは極力、力を抜くことを意識。さらに軸足に体重をしっかり乗せるため、昨季よりゆっくりした投球動作に変更した。

「狙い通りの直球が投げられた時は、握っている球が軟らかく感じるんですよ」。トップからリリースまでの間だけに力を込めることでスピン量が向上。指に球がかかる時間が長くなった感覚が、決して軟らかくならない硬球の感触までを変えていた。

フォームは変えても、試合前の“儀式”は変えないのが野上流だ。前夜は梨華夫人の手料理に舌鼓を打ったが、登板日の朝食は独身時代と同様「コンビニの納豆巻きっす」。投球に粘りが出るように、5年前から続ける験担ぎのルーティンを貫いている。

エース岸が楽天に移籍。投手陣の柱として期待がかかるが「自分の仕事をやることが第一。欲を出さず、地道に頑張るだけ」。淡々と話しながらも確かな覚悟を持って臨む今季。進化した右腕は、力を抜いて勝ち星を積み重ねる。