早大が逆転Vに王手をかけた。勝てなければ慶大の優勝が決まる早慶1回戦。2回に2点を先制されるも、3回に一挙4得点でひっくり返した。楽天ドラフト6位指名の西垣雅矢投手(4年=報徳学園)が8回4安打2失点で、リーグ単独トップの3勝目。チームは開幕2連敗スタートも、そこから立て直した。慶大は9試合目で今季初黒星。2回戦で勝った方が優勝、引き分けなら慶大の優勝となる。

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西垣は降りる気はなかった。5-2の8回2死二、三塁。慶大・下山への2球目のファウルでベースカバーに走った際、両足をつった。「自分で招いた。迷惑をかけられない」。ベンチから飛び出した小宮山悟監督(56)に「投げさせて下さい」と訴えた。「投げられるわけがない」と同監督は交代のつもりだったが、足を伸ばした後の投球練習で思いのほか、ボールが走った。続投だ。一ゴロに打ち取り、任務を終えた。

絶対に負けられない一戦。ここまで主に2回戦の先発だったが、小宮山監督から「一番安定感がある」と初戦を託された。ところが2回、広瀬へのスライダーが高く浮き、先制2ランを許した。「ふがいない1球でした」。だが、打線が3回、すぐに逆転。もらったリードを守り、9回は、ここまで1回戦先発が主だった徳山につないだ。

2回戦は徳山の先発が濃厚。西垣は「チームで一番ストイック。明日は、やってくれると信じてます」と断言した。開幕連敗スタートからの優勝なら、00年春の法大以来となる。試合前、小宮山監督は「このチャンスを生かすかどうかで、今後の人生が大きく違う」とハッパをかけていた。人生を変える逆転Vのフィナーレは近い。【古川真弥】