みちのく大学野球「秋の陣」は仙台大(仙台6大学1位)の初優勝で幕を閉じた。富士大(北東北1位・岩手)との「頂上決戦」。2-3で迎えた8回2死二、三塁。永長大和捕手(4年=土浦湖北)が代打で登場。カウント2-2から左前へ逆転適時打。リーグ戦の切り札として起用されてきた勝負師が、ここぞの場面で大仕事をやってのけた。チームは20日開幕の明治神宮大会に初出場。新たな目標を胸に刻み、全国舞台に臨む。

最後に笑ったのは仙台大だった。1点リードの9回。最後の打者を右飛に打ち取り、マウンド上で歓喜の輪をつくった。スタンドの控え選手らも総立ちで祝福。チーム全体で喜びを分かち合い、森本吉謙監督(47)は5度、宙を舞った。指揮官は目頭を熱くした。

「一番大事なのは仲間だと思っている。それが(コロナの影響で)2年間、つながりや思い出を制限しなくてはならない状況だった。一緒に食事をしていたと耳にした時は『お前ら何やってんだ』と言うしかなかった。苦しかった。東北で最後にみんなで笑えたのがグッときて、選手1人1人を誇らしく感じます」

“代打の神様”がチームを救った。8回2死二、三塁のチャンス、永長が起用された。「自分がここで打たないと負ける」。カウント2-2からの5球目。外角スライダーを引っ張った。打球は左前へ落ち、二走が生還。「うれしくて泣きそうだった」。盛り上がるベンチに向かい何度もガッツポーズをつくった。

周到な準備を重ねて勝負どころで結果を残す。リーグ戦では2試合に代打で登場。2打数2安打がいずれも本塁打。4年ぶりのリーグ制覇に大きく貢献した。常に相手投手に目を光らせて配球や軌道をイメージ。先発で打席に立った選手と情報を共有した。1打席での勝負にすべてを懸ける。「初回から準備をして、求められた場面で結果を残す。本番には強いタイプ」と笑顔で胸を張った。

初の明治神宮大会では国学院大(東都大学野球連盟)と対戦する。「常に上を目指して戦っていきたい。(神宮は)大学野球の聖地なので早くプレーしたい」。目指すは秋のチャンピオンシップ制覇。勝負師・永長が、ここぞの切り札で勝負を決める。【佐藤究】