慶大(東京6大学)が史上5校目となる年間4冠(春、秋リーグ戦、大学選手権、明治神宮大会)に王手をかけた。9回に下山悠介内野手(3年=慶応)がサヨナラ2ランを放ち、神奈川大(関東5連盟第2代表)との接戦に決着をつけた。中央学院大(関東5連盟第1代表)は4点リードの9回無死満塁で登板した山崎凪投手(4年=千葉英和)が好リリーフで逃げ切り。前回大会(19年)王者の慶大を相手に、初の日本一に挑む。

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打席に向かう前、下山は堀井哲也監督(59)から「余計なことを考えるな」と背中を押された。4-4の9回1死三塁。「外野に運べば点が入る」と頭を整理した。直後。初球の内寄り134キロを振り抜き、右越えへ放り込んだ。「ありがとー!」。ベンチから届く仲間たちの歓喜を浴びながら、ダイヤモンドを1周した。「チームメート、先輩方に助けてもらって、なんとか1本出せました」と感謝した。

今秋リーグ戦は最後の早慶2回戦で連覇を決めたが、下山自身は2試合続けて4打席凡退。「引っ張りにかかってました」と、打撃を見つめ直した。センター中心の意識を持ち直し、大会へ準備を進めた。初戦の東農大北海道オホーツク戦で二塁打。そして、決勝に駒を進める2ランで、3番打者の存在感を見せた。

決勝の相手は、中央学院大に決まった。「4年生の方々が素晴らしいチームにしてくれました。プレーに集中できます」。その4年生たちと一緒に戦えるのも、あと1試合だけだ。「このチームの集大成を、みんなで見せられるように」と決意を口にした。秋も日本一で、最高の締めくくりとする。【古川真弥】