名将タッグで北海道の大学球界に新風を吹かせる。札幌6大学野球リーグ3部(5月3日開幕)の北海道文教大総監督に就任した東都リーグ2部東農大前監督の樋越勉氏(64)と、監督に就任した東海大北海道前監督の高橋葉一氏(56)が7日、同大で会見に臨んだ。東農大北海道監督を27年務め全国の強豪に育てた樋越総監督が、かつて道内でしのぎを削る中で親交を深めた高橋監督を推薦。互いの経験を持ち寄り、将来の大学日本一と、プロ選手の輩出を目標に掲げた。

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網走から多くのプロ選手を育ててきた樋越総監督が、今度は恵庭に拠点を移し、高橋監督とともに新たなミッションに踏み出す。「まず3年後に1部に上がれるように。目標は日本一。そこを狙えるように頑張っていきたい」。東農大北海道監督時代はソフトバンク周東ら、16人のNPB選手を育てた。「プロ選手を出すには時間がかかる。ただ、ノウハウは持っている。近い将来、ドラフト指名会見を開けたら」と壮大なビジョンを掲げた。

同大は42年の学園創設から今年で80周年。在学中の志賀紅音(20)やOGが複数、北京五輪に出場した女子アイスホッケーに加え、本年度から野球部強化にも踏み出す。その第一段階として、渡部俊弘学長(69)が18年まで東農大北海道の副学長を務めていた縁もあり、経験豊富な樋越氏に白羽の矢が立った。同学長は「1番を目指すために迎えた」と強い口調で話した。

現在の部員は21人。栄養士や理学療法士の資格取得を目的に入学している学生も多く、この1年は、実習や授業時間などと調整しながら練習を進め、来春以降から本格的な強化に乗り出す。主に樋越総監督が道外、高橋監督は道内高校を視察しながら有望選手の情報を集め、戦力アップへの土台を築いていく。樋越総監督は「東農大北海道のときも最初は4部からだった。まずは高橋監督が指導しやすい環境をつくってあげられたら」と、段階を踏んだチーム強化を思い描いた。

練習場所はキャンパス内の北海道文教大付高との共用グラウンドだが、将来的には、昨年まで北海道文教大明清高があった札幌南区の敷地を新グラウンドに整備する案もある。樋越総監督は「地域の小中学生への野球教室のようなこともできたら。その子が付属高に進んで甲子園に出て、その選手がうちに来て将来、日本ハムに入るようになれば」。来春ボールパークが開業する隣の北広島に負けじと、恵庭からも野球熱を発信していく。【永野高輔】

<オレンジ追加 新ユニホーム>

東海大北海道を17年全日本大学選手権4強に導いた高橋監督も、日本ハム今川ら複数のプロ選手を育てた手腕を新天地で生かす。この日の会見前には選手たちとのミーティングに臨み、今後の体制などを話し合った。来春から用いる新ユニホームもデザインし「東農大北海道のブルーと(前任の)東海大の縦じまに、北海道文教大のスクールカラーのオレンジを加えました」と説明した。

東海大北海道は、11年までは北海道東海大として北海道6大学リーグに所属。樋越総監督率いる東農大北海道とはライバル関係だった。東海大北海道となり札幌6大学編入後は、何度も網走に出向き合同合宿を行い、樋越総監督と親交を深めた。高橋監督は「ずっと樋越監督に追いつけ追い越せの気持ちでやってきた。こうして一緒にやれることがうれしい。最初に大学の指導を始めたとき以上に、興奮している」と話した。

<一枚岩になる>

会見には野球部員も駆けつけた。主将の黒田雄大投手(3年=札幌創成)は「素晴らしい総監督と監督に来てもらった。僕たちの環境や意識も変わっていく」と期待した。現部員21人に今春、新入生が10人前後入部する予定で、9日から新体制での練習が始まる。「高橋監督には『一枚岩になることが大事』と言われた。僕らはいろいろな目標を持って、この大学に来ているが、互いの意見を出し合って、全員が同じ方向を向けるように努力したい」と思い描いた。