ソフトバンク田上奏大(たのうえ・そうた)投手(19)が、プロ初登板、初先発に挑む。20年ドラフト5位で入団も、1年目の昨オフに、時間を要すると見られて育成契約。しかし今年4月7日、再び支配下再登録されていた。

履正社(大阪)では3年春に投手転向したが、公式戦登板はゼロ。ウエスタン・リーグも通算3試合のみ。叔父は、元ソフトバンク捕手の田上秀則氏。異色の道を歩んできた高卒2年目、19歳が1軍デビューする。

 

<ソフトバンク田上の歩み>

 

◆生まれ 2002年(平14)11月26日、大阪市生まれ。敷津浦小2年で「バイキングジュニア」で野球を始め、オリックスバファローズJr.にも所属。住之江中では西成ボーイズに在籍。履正社(大阪)では1年秋からベンチ入りし、3年春から投手転向。高校通算11本塁打、最速は154キロ。変化球はカットボールやカーブ、スライダーなど多彩。

◆家族 母由香さん(43)、兄楓大さん(21)。幼少期から母子家庭。母の弟にあたる叔父は中日、ソフトバンクで捕手として活躍し、現在大産大付野球部を率いる田上秀則監督(42)。

◆好きな○○ 憧れの選手は履正社の1学年先輩、阪神井上広大外野手。好物は焼き肉。アーティストは「TWICE」。座右の銘は「一事が万事」。

◆サイズ 185センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は600万円。

◆ターニングポイント 投手転向後、すぐに直球は150キロ以上を計測。シート打撃でも好投した。スカウトからポテンシャルを評価され、20年ドラフト5位でソフトバンク入り。

◆意外な一面 21年1月の入団会見で「UFOはいると信じている」と発言。周囲の笑いを誘った。背番号は叔父の秀則氏が背負った「70」。

◆2軍デビュー 21年8月10日のウエスタン・リーグ、阪神戦(タマスタ筑後)で公式戦デビュー。中継ぎで1回1安打無失点。

◆主力斬り 21年11月15日、宮崎秋季キャンプのシート打撃に登板。球種は真っすぐのみで走者三塁という打者有利の状況で、上林や栗原ら主力クラスを最速151キロの直球で打ち取る。

◆育成契約 21年11月25日、球団が来季の契約を結ばないと発表。球団は「補強の枠の問題もあって、支配下ではなく育成選手としてしっかりトレーニングを積んで欲しい」と説明。育成契約を打診し、同年12月9日に育成契約を締結。背番号は「70」から「156」に変更。

◆開幕投手 22年3月18日、オリックスとのウエスタン・リーグ開幕戦(タマスタ筑後)に開幕投手として先発。5回3安打6三振無失点で公式戦初勝利。

◆2連勝 22年3月31日のウエスタン・リーグ、阪神戦(鳴尾浜)では5回6安打1失点で2勝目。

◆復帰 22年4月7日、球団は田上を支配下再登録すると発表。三笠杉彦取締役GM(48)に「1度育成で契約して、じっくり育成という方針だったが、言ってみればフロントの見立て違い。ぼくらにとってはうれしいサプライズでした」と言わしめた。背番号は「70」に戻った。

◆1軍デビューへ 22年4月12日ロッテ戦(長崎)で、先発として1軍デビューすることが決定。10代で1勝を刻めば、12年の武田翔太(当時19)以来10年ぶり。