北東北大学野球が、今日16日開幕。春季リーグ2連覇に挑む富士大(岩手)の川村怜史主将(4年=長崎総合科学大付)は「完全優勝」を力強く宣言。リーグ戦全10試合を負けなしで突っ走り、全日本大学野球選手権(6月6日開幕)の出場権をつかむ。川村はプロ入りを目指す俊足、強打、強肩の走攻守3拍子そろった外野手。チームの勝利を最優先に、自らも売り込んでいく勝負のラストシーズンが始まる。

「勝負の春」が訪れる。川村主将は目をぎらつかせて決意を口にした。

「1敗、2敗が後々、命取りになる。全勝して完全優勝したい」

主将としてチームを先導する。「チームの中で気の強さは一番。自分の長所を生かしながら、チームを強く引っ張っていきたいと思っている」。意識するのはコミュニケーション。学年関係なく積極的に会話をする。「自分は私生活を大事にしていて、普段は話せない下級生にも話しかける。近い距離にいたいなと思っている」。部員数は、200人を超える大所帯。練習はカテゴリー別で行われるため、グラウンドで会わない下級生も少なくない。「下級生からは話しづらいと思うので、食堂とかで自分から話すようにしています」。学年の壁を越えて意思疎通を図り、川村主将を中心にチームは一致団結している。

春本番に向け、最善は尽くした。コロナ禍の影響で関東遠征など、ほとんどの対外試合の自粛を余儀なくされた。昨年よりも試合数は少なく実戦不足は否めないが、手応えを口にした。「コロナの影響があって、思うようにスケジュールが進まなかったですけど、メンバー全員が仕上がっている。実戦感覚がない中で、選手1人1人が工夫しながら練習に取り組んだ」。打者陣はブルペンの打席に立ち、投手陣の生きたボールで目を慣らした。フリー打撃でも投手との1対1を取り入れるなど、できる限りの準備を行った。「選手の状態も良いので、春のリーグ戦はおもしろくなると思います」と待ち切れない様子で話した。

3年秋からベンチ入りした川村にとって、春のリーグ戦は、最初で最後の舞台だ。50メートル6秒0、遠投125メートルと走攻守3拍子そろった外野手としてプロ入りも視野に入れる。名前を売り込む機会とも捉える。「リーグ戦で経験が豊富なわけではないので、この春で試合に出場できるのであれば意識してアピールしたい」と力を込めた。

根底はぶらさない。主将として、チームの勝利を最優先に考える。「プロ入りであったり、個人タイトルを意識しつつも、そこにはあまりとらわれず、チームの勝利のために、自分のプレーを思う存分に発揮していきたい」と言った。

目指す目標は「大学日本一」だ。「自分の結果に左右されず、どんな状況でもぶれない強い男であり続ける」。強い信念と覚悟を胸に、ラストシーズンを駆け抜ける。【佐藤究】

◆川村怜史(かわむら・れいじ)2000年(平12)11月4日生まれ、東京都府中市出身。若松小1年時に若松ホーマーズで野球をはじめ、中学時代は稲城シニアでプレー。長崎総合科学大付では1年秋からベンチ入り。2年夏からレギュラー定着。3年春に県大会優勝、九州大会出場。同年夏は県16強入り。大学では3年秋からベンチ入り。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉3人。好きなプロ野球選手は新庄剛志。好きな芸能人は清瀬汐希。