明大の瀬千皓(せ・ちひろ)外野手(1年=天理)が開幕戦にスタメン出場し、初打席で2点本塁打を放った。初打席初本塁打は30人目だが、開幕戦で1年生では史上初の偉業達成。チームも東大に12-1で快勝した。立大は、今秋ドラフト候補の荘司康誠(こうせい)投手(4年=新潟明訓)が自ら先制ソロを放つなど、投打で活躍しリーグ戦初勝利を挙げた。

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大きなインパクトとともに、6大学の歴史に名を刻んだ。明大・瀬はチームの開幕戦に「6番右翼」で先発出場。先輩たちの力強い言葉が、背中を押してくれた。「緊張していたけど、1年生らしいプレーができればいいと思っていた。結果が出て良かったです」と振り返った。

3点を先制し、なおも1回1死一塁。東大・井沢駿介投手(4年=札幌南)と対戦し、初球から思い切りのいいスイングでファウル。「器用な打者ではないので、振って合わせていこうと思って」とタイミングを計った。カウント1-1となり、3球目の128キロ変化球を捉えて左翼席へ運んだ。笑顔でダイヤモンドを1周し「(球種は)あんまり覚えていない。気持ち良かったです」とにっこり。

実は相性のいい神宮で、最高の大学デビューを飾った。天理が出場した19年の神宮大会で、初戦の準々決勝・仙台育英戦、準決勝・中京大中京戦と、1年生ながら2戦連発を記録した。「ずっと興味があった」という6大学を選び、すぐに結果を出した。

1年生の打撃に、田中武宏監督(61)は「見事な対応力だった。本当は4番を打たせたいくらい」と高評価。この言葉を受けて、瀬は「これから4番を任せられるように、頑張ります」と力強く答えた。小2から始めた野球で「まだ日本一の経験がないので、達成したい」という思いもある。明大のユニホームで、頂点に挑む。【保坂恭子】

◆東京6大学の初打席本塁打 明大・瀬の初打席本塁打はリーグ30人目。上級生や代打での本塁打が多く、開幕カードの1年生となると、07年春、慶大・青山寛史が立大戦で放って以来。ただ2回戦で、7回の代打出場だった。先発出場の初打席本塁打は瀬がリーグ初になる。今季は初打席本塁打が多く、早くも3本目。第1週では慶大・宮崎恭輔(3年)、早大・島川叶夢(3年)が放っている。

◆名字メモ 「名字由来ネット」のサイトによると、瀬という名字は全国におよそ340人、全国順位は1万5785位という“珍名”。天理では、右腕エースの達孝太(たつ・こうた)投手(現日本ハム)とともに、名字1文字の「セ・タツコンビ」として甲子園で名をはせた。

◆瀬千皓(せ・ちひろ)2003年(平15)6月11日、奈良県生まれ。小2からあすか野ファイターズ(軟式)で野球を始め、生駒ボーイズから天理へ。投手と捕手をしていたが天理では外野に専念し1年秋からベンチ入り。3年春センバツで4強。高校通算21本塁打。憧れの選手はオリックス山本。トレードマークは、小学生の頃からかけているめがね。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。B型。