阪神青柳晃洋投手(28)はマウンド上で、ナインと勝利の喜びを分かち合った。9回、先頭岡本和に右越えに1発を浴び1点差に迫られ、2死から代打坂本が登場。敵地が押せ押せムードの中、追い込んでからの5球目、外角いっぱいに143キロ直球を決め、見逃し三振で試合終了。ともに自身初となる2試合連続完投で開幕3連勝を飾った。

「最初テル(佐藤輝)がホームランを打って点をもらったんで、楽に投げられました。なんとかリリーフを使わずに投げられたので、すごい良かった」

執念で自己最多の129球を投げ抜いた。3回まで1安打と抜群の立ち上がり。5回は味方守備の失策もあり21イニングぶりに失点を許すも、最少失点で踏ん張った。「昨日までの2連戦は中継ぎが頑張ってくれてれていたので、少しでも長いイニングを投げようと」。6回以降も両サイド、低めを丁寧に突いた。

3回先頭の打席では今季初ヒットとなる左前打を放ち、主砲の決勝弾につなげた。「自分がやられて嫌なので。9人目の野手として、投げるだけじゃない貢献ができた」と胸を張った。

青柳はファームでくすぶっていた時代に、当時の矢野2軍監督から授かった助言を今でも継続している。17年までは「常に全力で投げて抑えにいって、四球出しても打者を抑えればいいというスタイルだった」というが、「今は7、8割で投げてしっかり試合をつくるというのを意識してます。挑戦させてくれたのは矢野監督」と明かす。この日も教えを生かし、「7、8割」と要所の「10割」を使い分けゲームメーク。開幕から苦しむチームを4連勝に導き、指揮官への恩をしっかりと結果で返した。

9回2失点(自責1)のエースの投球に、指揮官は「めちゃくちゃうれしい。青柳が勝たせてくれた試合」と大絶賛。「(9回は)あの流れでよく1点で止めてくれたし、最後までいってくれたことも含めて完璧だと思います」と続けた。背番号50が、背中でチームを引っ張っている。【古財稜明】

▼阪神の青柳が前回登板の4月22日ヤクルト戦(神宮)から自身初の2試合連続完投勝利。阪神では21年高橋の9月25日巨人戦(東京ドーム)、10月2日中日戦(甲子園)の2試合連続完封以来。青柳の完投勝ちは19、20年に1度ずつあったが、1シーズンで複数回は初めて。また、129球は19年4月29日中日戦(ナゴヤドーム)に並んで自己最多の球数だった。

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