静岡大が創部初の2季連続優勝を飾った。常葉大静岡に5-1で快勝し、春は8年ぶり4度目の頂点に立った。

2回に荒井瑞紀(みずき)内野手(3年=静岡東高出)の先制2点適時打などで一挙4得点。3人の継投で9回の1失点に抑えた。県代表として、21日の東海地区大学選手権(草薙球場)に出場。岐阜代表、三重代表と総当たり戦を行い、全日本大学選手権(6月6日開幕、神宮球場ほか)の出場権獲得を目指す。

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試合終了後、静岡大ナインには、ガッツポーズも笑顔もなかった。新型コロナウイルス感染拡大で不戦敗2つの日大国際関係が、第2試合に備えて球場脇で準備しているのが、視界に入っていた。高山慎弘監督(41)は「今季はコロナ禍で、試合ができなかったチームもいる中での優勝。素直に喜べない」。日大国際関係と対する聖隷クリストファー大も、不戦敗4つ。満足に戦えなかったライバルチームへの配慮が、大喜びの自粛につながった。

試合では、自慢の打線が持ち味を発揮した。2回の6連打で4得点。先制適時打を放った荒井は「逆方向へイメージ通り打てた。よかった」と振り返った。投手陣も踏ん張った。先発・古川陽都(3年)が7回無失点。小林凌雅(りょうが)(3年)と速水龍太(4年)の継投で、2季連続優勝をつかんだ。

昨年7月、チームはデータ解析を専門とする「ネクストベース」と契約。相手チームの情報分析が可能になり、昨秋は15季ぶりの優勝を飾った。今春も分析力で他チームをリードした。永井結登(ゆうと)主将(4年)は「監督の戦略や指示について、数値化されたデータを共有して、理解している。意思疎通がスムーズになった」と話した。相手チームの情報収集には、試合に出ていない4年生も貢献。優勝の「陰の立役者」になった。

21日の東海地区大学選手権で2連勝すると、全日本大学選手権の出場権を得られる。古川は「ピンチの時に直球で抑える自分の投球をして、東海大会で勝ちたい」と力を込めた。国立大の挑戦には、続きがある。【山口昌久】