亜大がここ一番のチャンスをものにし、準々決勝進出を決めた。

0-0で迎えた9回表、2死一、二塁、代打松浦隆己内野手(3年=神戸国際大付)は「監督から思い切っていけと言われた。初球からいきました」とスライダーを強振。二塁まで全力疾走。「二塁について、打球が落ちていたのが見えた。良かったなと思いました」。左越え適時二塁打で、2点を先制。松浦は二塁ベース上でガッツポーズを見せた。

生田勉監督(55)の采配もズバリと当たった。「8回頭からボールが上ずっていた」と、先発の青山美夏人投手(4年=横浜隼人)が、8回1死満塁のピンチを招くと、松本晴投手(4年=樟南)にスイッチ。同時に、守備固めに二塁の西脇から山本へ交代。迎えた打者の打球は二塁山本の前へ転がり、併殺打。最大のピンチを脱した。9回には、山本に代わり代打で松浦を起用。指揮官の期待に応え決勝打。生田監督は「予感?ありましたよ」と笑った。

笑顔が勝利を引き寄せた。0-0の緊迫した試合展開に、ベンチでニコニコしていた選手が松浦だった。生田監督は「こういう子が、ここ一番でいい仕事をしてくれるんじゃないかなと。明るい子を使った。運が来ましたね」と、運を引き寄せる予感を感じたという。続けて「物おじせずに、積極的にいける。こういう短期決戦には必要なキャラクターです」と、起用理由を明かした。

いつも明るく、練習熱心。どんな時も下を向かない性格が、チームからの信頼を得た。松浦はこの試合も、いつでも代打で出場でいるようベンチ裏でスイングを続け、その時に備えていた。「準備万全でした」。待ってましたと言わんばかりに、笑顔で打席に向かい、一振りで勝利に導いた。

6年ぶりの出場での初戦突破に、生田監督は「正直、この戦力で全国を勝つのは難しい。この子たちは負けて当然だと思っているので、その怖さがない。でも頑張っていれば、勝てるかも?と考えている。だから、笑顔なんでしょうね」と笑った。

明るくひた向きに、全力疾走。亜大らしさが、勝利を引き寄せている。