4番を任されるロッテ山口航輝内野手(21)が試合途中に変身した。

このところずっと、芯の部分に焼き色が入った本人いわく“焼き”のバットを使っていた。初回の第1打席はしかし、勝負球でそれを動かせずに見逃し三振。固まった。

バットというよりも、全体的に違和感があったという。「構えた時にしっくりこないというか。投手とあまり勝負できていない感じも昨日もあったので」。3回2死満塁の第2打席、黒と木目のツートンカラーのバットを握り、先制かつ決勝の2点適時打を放った。

「本当に何とかという思いが強かったです、あの打席は」

2本のバットは形も重さも同じで、違うのはデザインだけ。「持った感じで決めてます」と、気分で二者択一していることを以前、明かしたことがある。何かを変えねば-。必死の思いが、人知れず変えたバットにも表れていた。

21歳、4番。打順もレギュラーもまだ、確固たるものではなく「1日1日やるべきことを本当に出して、後悔しないように1日を大切にしていくことが大事」と胸に刻む日々だ。かたやこの日、同じ4番一塁で起用された同学年の日本ハム野村は、球宴ファン投票でも三塁部門で1位(17日時点)。目の前で特大の本塁打も打たれた。

「野村とか万波とか、同じ学年で右打者で、本当に意識するところは多いですし。仲もいいんで、打撃のことを聞いたりよくするんで、負けたくないなというふうには」

考え方もバットも、貫きすぎず柔軟に。経験を引き出しの中身に変えながら、やがて不動の座につくことを夢見る。【金子真仁】

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