西武がソフトバンクとの首位攻防第1ラウンドを制し、首位奪還に成功した。山川穂高内野手(30)が同点の4回2死一、二塁、勝ち越しの30号3ランを放った。ソフトバンク千賀からパ・リーグ一番乗りとなる30号を欲しい場面で生み出した。猛打でチームをけん引してきた主砲が、大事な一戦で3安打4打点と大暴れ。チームは18日以来の首位に再浮上した。

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球宴では「馬のかぶり物」に「フリップ芸」でも盛り上げた。遊び心だらけでおちゃらけていたが、緊迫した真剣勝負の場でも、山川は格別の存在感を発揮した。

リーグ一番乗りの30号。それを最高の場面で出せる。結果的にチームを首位に押し上げる一撃になった。同点に追いつき、なおも4回2死一、二塁のチャンスだった。千賀の148キロカットボールが真ん中高めに吸いこまれてきた。逃さない。「本塁打を打てたのが一番よかった」。堂々たる確信歩き。勝ち越し3ラン。ダイヤモンドを1周後は、プロレスの“武藤ポーズ”まで飛び出した。

不思議と遊び心の中で、思わぬアイデアがひらめくこともある。前半戦最後の9連戦は33打数5安打の12三振と調子を崩していた。球宴前日の25日。移動の機内やホテルの部屋で、まずフリップに記す言葉など「ふざけること」を考えていた。余裕が出れば、自然と頭もさえる。同時に打撃の修正ポイントも思慮を巡らせると、不振を脱する自分なりのヒントを見つけた。球宴1戦目での1発で、手応えは確信に変わった。変化の核心部分については「秘密です」と語りたがらない。ただ「ボールの見え方など本当によかった」。復調の糸口を示し、大事な試合で結果に結び付けた。

めりはりも生まれている。この日は指名打者の出場。「もちろん真剣ですよ。でも自分が打席に入っている時以外は、あまり真剣にやらなくてもいいやと」。手を抜くのではない。ベンチにいる時は、あえて心に余裕を作り出す。打席で究極の集中力を高めるために-。そんな境地にある。

球宴を経て、真剣勝負の中に、より楽しむ心が生まれた。後半戦開幕とはいえ、もう残りは50試合を切る。混パの中で、1試合の勝敗の重みはどんどん増す。その中で勝利に導く1本を重ねていく。【上田悠太】

○…今井達也投手は乱調ながらも6回3安打2失点で、2勝目をマークした。3回までに5四球を与えるなど計6四球。球数も124とリズムは悪かったが、最少失点でしのいだ。「カットボールとスライダーでカウントを取ることができず、決め球にも使えず、四球が多くなってしまった」とまず反省。その上で6回を投げ抜き、「最低限の仕事はできたかなと思う」と振り返った。

▽西武辻監督(首位に立って) 千賀相手にこんな試合になると思わなかったが、勝てたのはうちとしては大きな1勝。でも明日(30日)負けたら、1日天下って書くんだろ(笑い)。

▽西武水上(9回をゼロに抑えプロ初セーブ) 素直にうれしいです。ただセーブかホールドかの違い。それほど意識はしなかったです。

◆WILDWILDユニフォーム 7月22日から8月21日の期間中に開催する「ライオンズフェスティバルズ2022」で着用している限定ユニ。カーキを基調とし、大自然のワイルドさやライオンの生息地であるサバンナを想起させるようなデザインとなっている。なお着用時の勝率は2勝1敗1分け。

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