日本ハム佐藤龍世内野手(25)がソフトバンク16回戦(旭川)で、プロ初の決勝弾を突き刺した。2-2の同点で迎えた3回、バックスクリーン右へ勝ち越しの1号ソロを放った。昨年8月に西武から交換トレードで加入。出場55試合153打席目にして地元北海道での移籍後初アーチとなった。チームは火曜日の連敗を11でストップ。今季最初で最後の旭川での試合で勝利を飾った。

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バックスクリーン右で、メモリアルな打球が弾んだ。佐藤は右拳を握りしめ、歩みを加速させた。2-2で迎えた3回先頭。石川の2球目、直球をはじき返した。「変なことを考えずに、シンプルに来た球を素直に打とう」。クリアな視界で捉えた1球だった。昨年8月に西武から交換トレードで加入し、これが移籍後初アーチ。西武時代の19年以来3年ぶり、通算3本塁打目の感触を初々しくかみしめた。

「やっとファイターズに来てホームランが打てたので、本当に良かった。マジで今シーズンは1本打ちたいと思っていた」。7月20日に新型コロナウイルスによる特例が適用され、約2カ月半ぶりに1軍再昇格を果たした。スタルヒン球場は北海高校時代にもプレー経験がなかったが「何か、やっと吹っ切れた。来年もスタルヒン球場の時は、ぜひ佐藤を呼んでください」と笑った。

移籍から約1年。新天地では先発出場が激増した。西武ではベテラン中村のバックアップ要員としての出場が多く、連日のスタメン起用は未体験に近かった。結果が出ないと一喜一憂して苦しむ日々が続いた。気持ちのむらをなくしてくれたのは、兄貴分の西武森。「毎日のように出られるんやから、明日取り返せばええ」。佐藤はその言葉に「それでいいんだ、と。聞けてめちゃくちゃ良かったです」と肩の荷を下ろした。新庄監督からは「もうちょっと楽に。しっかりアジャストしていこう」と声を掛けられ臨んだ。背中を押したビッグボスは「『佐藤くん、これ1発放り込むよ』ってヘッドコーチに言っていた」と予言を的中させてご満悦だった。

チームは、4月19日楽天戦での勝利を最後に勝てていなかった火曜日の連敗を「11」で止めた。旭川の夜空に両チーム計6発が飛び交ったアーチ合戦。「今日は眠れなさそうですね、マジで」。胸いっぱいの道産子の一振りが輝いた。【田中彩友美】

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