阪神が2位DeNAに痛恨の3タテを食らい、ついに貯金がなくなった。この日、近本光司外野手(27)も陽性判定を受けたことが発表され、大山や中野らの主力をコロナ禍で欠く打線は3連戦で3得点と貧打が深刻。守備もほころび、3連戦5失策でリーグ最多65失策となった。ナイターは今季9戦全敗など、かつて「横浜銀行」と称された得意の敵地で怪現象も続く。首位ヤクルトも6連敗で幸い8・5差はそのまま。ミラクルVへ今が踏ん張りどころだ。

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阪神代打の原口とロハスが9回、走者2人を置いて左翼へ大飛球を上げた。起死回生の同点3ランか。だが、いずれも伸びが足りず、ファンの歓声はため息に変わった。得点は初回暴投でもらった1点だけで25イニング適時打なし。3戦合計3得点で、打線の迫力不足が明らかな3連敗だ。矢野監督は「チャンスがないからね。立ち上がりで何とか、もうちょっといけたら」と先発石田を2回以降リズムに乗せた拙攻を悔やんだ。貯金は7月28日以来、2週間ぶりの0になった。

この日、近本が新型コロナの陽性判定を受けたことが発表された。前日10日は感染の疑いだったが発熱の症状もあり、長期離脱が避けられない状況になった。5番大山に続き、DeNA初戦の9日に1番中野が抜け、3番近本も復帰時期が未定では頭が痛い。矢野監督も「どうしようもないんでね。頑張るしかないよね」と必死に前を向いた。

打てない上に、守れない。7回は才木が嶺井に勝ち越し2ランを浴びた後、2死一塁からオースティンの中前への打球を島田がはじいた。さらに、中継に入った遊撃木浪も本塁悪送球のダブルエラーで、3点差に広げられた。何とか持ちこたえてきた失策数は65に増え、ついに巨人と並びリーグワースト。適時失策11もリーグワーストで、長年課題の守りも、主力の離脱でほころびが目立っている。

“ハマスタの怪”もつきまとう。この球場に来ると打線が爆発し、「横浜銀行」と称された時代もあった横浜スタジアムで年間3度の3連敗は球団初の屈辱。2勝9敗でナイターは9戦全敗だ。4位巨人とも1差で再びBクラスの危機に陥った。矢野監督は「苦しいチーム状況に変わりはない。だからといって、頭を下げて、後ろを向いて、背中丸めてやる野球はしたくない」と懸命にファイティングポーズをつくった。

「誰かひとりが活躍して勝てる感じじゃない。全員で束になっていかないと突破口は開けない」。首位ヤクルトも6連敗と苦しみ、幸い8・5差は変わらない。12日からは京セラドーム大阪で中日と3連戦。今こそ一丸で、最大の窮地を乗り切りたい。【石橋隆雄】

○…4番佐藤輝は3度の得点圏で凡退した。初回1死一、二塁の好機は石田の変化球で投ゴロ。3点を追う8回は、1発が出れば同点の2死一、二塁だったが、2番手伊勢の真っすぐに手が出ず見逃し三振に倒れた。4回は中前打を放ったが、DeNA3連戦の安打はこの1本だけ。トータル11打数1安打6三振で悔しい横浜ナイトになった。

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