合言葉は「ビドル80%」だった。オリックスのジェシー・ビドル投手(30)が米マイナー時代の15年以来、自身7年ぶりに先発登板。5回65球2安打無失点で今季4勝目をつかんだ。

「(先発を通達され)本当、正直、何が起こったかわからない感じだった。今日、5回しか投げてないけど、完投した気分でした」

救援として期待され、シーズン序盤は「8回の男」として君臨した助っ人左腕。先発を伝えられたのは「2週間前の立川」だったと明かした。確かに、西武戦の試合前練習でユニホームを着たビドルが熱心にブルペン投球を行い、3日に出場選手登録を抹消されていた。

1点勝負のマウンドに慣れ「今まではとにかく全力、全力で良い投球をすることしか考えてなかった」。先発マウンドへの合言葉は「80%」で「毎イニング投げ終わる度に、高山投手コーチから『80%』と言われ続けてきた」とおどけた。女房役の伏見にも感謝を忘れず「リードに1回も首を振ることなく投げ続けて、良い結果が出た」と興奮気味に話した。

山岡、椋木がコロナで離脱する苦しい中、ビドルの先発適性を見抜き、配置転換した中嶋監督は「力感が取れたらすごく良いなと思っていた」と“中嶋マジック”の意図を明かした。先発起用されていたワゲスパックが今では救援で仕事を果たしており「助っ人シャッフル」に成功させた。

これで3カード連続勝ち越しを決め、貯金を今季最多タイの4に戻した。2位ソフトバンクとのゲーム差は再び1。昨季王者は、変化を恐れない。【真柴健】

◆ジェシー・ビドル 1991年10月22日、米ペンシルベニア州生まれ。10年にフィリーズからドラフト1巡目(全体27位)指名。メジャー通算99試合に全て救援登板し6勝2敗1セーブ13ホールド、防御率5.07。今季からオリックス。前試合まで全33試合に救援登板し、3勝4敗0セーブ13ホールド、防御率3.62だった。196センチ、99キロ。左投げ左打ち。

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