広島は勝てば条件次第で3位浮上もあった巨人21回戦(東京ドーム)を落とした。2点を追う7回2死二、三塁では菊池涼介内野手(32)が意地の2点適時二塁打で同点とし、執念は見せた。しかし同点の8回、4番手のターリーが丸に決勝打を許し、敗戦。今季の東京ドーム最終戦を勝利で飾れなかった。

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1度は沈みかけた反撃ムードを、菊池涼が再燃させた。2点を追う7回。無死から小園と磯村が連打で得点機を演出した。代打堂林が三振で、野間が二ゴロ。東京ドームの左翼席を埋めた赤い観衆はため息を重ねた。2死二、三塁。背番号33が打席へ入った。

左腕井上に2球で追い込まれた。しかしそこからファウル2球などでフルカウントにもっていった。「2ストライクからファウルにして自分の中で形が良い感じだった。打ちにいきながら見逃せている、いい感覚の中にいた」。好感触をもって8球目の高め直球を振り抜いた。左翼線への2点適時二塁打で同点とし、勝利への望みをつないだ。「必死に気持ちだけで打った」。打率は2割5分ながら得点圏では同3割2厘と、勝負強さが光る。

意地の適時打で一時は同点に追いついた。しかし、8回にターリーが勝ち越し点を献上し、チームは連敗。2カード連続の勝ち越しとはならなかった。

「コーチがいつも『やるべきことはしっかりやっていこう』と、声かけしている。気を抜いているわけではないが、もう1回みんなでやれることをしっかりやる。やらなきゃいけないことをしっかりやっていたら勝てた、連勝につながったということもある」。菊池涼は進塁打や、無失策などナインの凡事徹底を求めた。

佐々岡監督も投打で苦しい状況を踏まえ「(若手は)チャンス。2軍の投手もチャンス」と若い活力の奮起を促した。16日からは本拠地に戻り、6勝11敗と分が悪い中日を迎える。「とにかく残り少ない中で1戦1戦、戦うしかない」と指揮官。今季は残り34試合。いま一度、チームの底力が試される。【前山慎治】

○…今季初登板の先発大道は4回2失点で降板した。失点は4回無死一塁で4番中田に浴びた2ランのみ。直球は強さがあり、毎回の5奪三振。「(被弾の場面は)ゲッツーを狙っていたが、真ん中に入った。長いイニングを投げたいのでもっといい投球を見せたい」。佐々岡監督は「1発は打たれたが、ファームでやってきた成果が出ていた」と、次回登板も与える方針を示した。

○…ターリーが決勝打を許し、2敗目を喫した。同点の8回に勝ちパターンとして登板。先頭吉川を中前打で出塁させ、盗塁と犠打で1死三塁。丸に低め直球を左越え適時二塁打とされ、大きな1点を失った。「チームに迷惑をかけてしまった。真っすぐを待っていたのかなと感じる」。かつての「8回の男」森浦が2軍調整中。その代役ターリーは8回で3戦連続失点と波に乗れない。

○…5戦連続で回またぎ救援となった薮田は2回無失点で役目を果たした。大道のあとを受け、5回から登板。5回は2死二塁を背負うも無失点。6回には1死一塁で、狙い通り併殺を奪った。「今年は全然併殺がとれなくて、それが苦しかった。外の落ち球でゴロゲッツーというイメージだった。理想的な形で取れた」。4戦、8イニング連続無失点とブルペンを支えている。

▽広島高橋投手コーチ(4回2失点の先発大道に)「4回で交代はかわいそうだけど、得点の可能性を増やすための交代。今は(中継ぎが踏ん張る)そういう時期」

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