泥沼の連敗の中、わずかな光が差し込んだ。阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(32)が、一時同点となる3ランで希望を示した。チーム31イニングぶりの得点を生み出した山本の犠飛の直後。3点ビハインドの5回2死一、二塁、中日橋本の132キロフォークを左翼席に放り込んだ。

「右打席に立つ機会は多くはなかったけど、自分なりに準備してきたつもり。とにかく、チームが苦しい時に力になれて本当にうれしいよ」

今季7本塁打のうち、右打席では2発目。これまで左投手先発時はスタメンから外れる場面も多かった両打ち助っ人の感覚は鈍っていない。意図的に右打席での打撃練習を増やすなど、工夫を重ねる日々。「しっかりベース上に覆いかぶさって、真っすぐと変化球を両方打てるように」。打撃フォームの細部までこだわり、出番に備えてきた。

2試合連続マルチ安打で3番起用に応えた。8月は打率4割2分9厘、3本塁打、6打点。とりわけ大山が離脱した5日以降は20打数9安打、打率4割5分とギアが上がった印象だ。「中野、近本、大山が抜けるっていうのはチームとしても大きい。少しでも大山選手たちが抜けた穴は、カバーできているんじゃないかなって思うんですけど。それでも、今いる選手たちで頑張って戦っているので。少しでもチームの勝利に貢献できるように頑張っていきます」。仲間のためにも打ち続けるしかない。

奮闘する助っ人を矢野監督も「ホームランしかないというところで、しっかりしたバッティングをしてくれた。最近いい形で打ってくれている」とたたえた。この日、5番に入ったロドリゲスは22打席連続無安打と低調。2年目助っ人が意地を見せる日々は、まだまだ続きそうだ。【中野椋】

▼ロハスは、大山が離脱した5日以降の7試合で、20打数9安打、3本塁打、6打点、打率4割5分と大当たり。主砲不在の穴を埋めている。これで今季の本塁打は7本。阪神のスイッチヒッターによる年間最多本塁打は、70年バレンタインの11本で、52年ぶり更新の可能性も出てきた。

▼阪神が11日DeNA戦2回から続けていた連続イニング無得点は、30で止まった。これは、開幕戦の3月25日ヤクルト5回から同29日広島戦5回にかけての28イニングを超え、今季最長。なお球団最長は43イニングで、79年8月23日ヤクルト戦8回~同30日広島戦5回に記録。

▼阪神は1回から3イニング連続で計3併殺打。1試合3併殺打は今季最多タイで、8月12日中日戦以来5度目となった。なお3イニング連続の併殺打は、21年5月4日ヤクルト戦の1回糸原二併、2回梅野遊併、3回サンズ遊併以来。

○…山本がチーム31イニングぶりとなる得点を刻んだ。4点を追う5回だった。1死から梅野が中前打。代打陽川が死球、島田も右前打でつないだ1死満塁のチャンスで中堅に犠飛を打ち上げた。今季最長の連続イニング無得点を30で止めた直後にロハスが一時同点となる3ランを放つなど、打線を目覚めさせた。

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