日本ハム清宮幸太郎内野手(23)がプロ初の1試合5打点をマークして、チームの連敗を2で止めた。ロッテ戦(ZOZOマリン)の4回に107打席ぶりとなる決勝14号2ランを放つと、5回には2打席連発となる15号3ランでダメ押しした。後半戦は不調が続いて打率は規定打席到達者で最下位の2割3厘。まずは、前日12日に新庄剛志監督(50)が示したレギュラー合格ラインの2割2分を目指して残り14試合は打ちまくる。

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清宮が崖っぷちから、はい上がった。同点に追い付いた直後の4回1死二塁。低めのボールをすくい上げると、打球は右中間のホームランラグーン席へ吸い込まれた。8月3日ソフトバンク戦以来となる決勝の14号2ラン。「よかったっす。ほんと1打席目、みっともない三振しちゃったんで」。2回は2球見送った後、空振りの3球三振。BIGBOSSに見限られる寸前だった。

新庄監督も笑いながら振り返った。「三振を見て、隣に座っていた杉谷君に『次の打席、三振したら、代打。もう用意しておいて』。そしたら、ホームラン打った…」。杉谷から「もう、いいっすかね?」と尋ねられた指揮官も「お疲れ!」と、杉谷の代打準備を止めさせた。そんな事情は知らずにアーチを放った清宮も、試合後は「ケンシさん(杉谷)が準備してたみたいなんで、よかったです」と、胸をなで下ろした。

5回にも2打席連発となる15号3ランでプロ初の1試合5打点。同学年のヤクルト村上が2本塁打でシーズン55号の日本人記録に並んだ日に、清宮も不調だった約1カ月半の鬱憤(うっぷん)を晴らした。8月10日西武戦で走塁中に相手野手と交錯。左肩を痛めて以降は快音が極端に減った。「思うようにいかない時も結構あった。でも、それでも、やらなきゃいけない」と、自らを奮い立たせてきた。

12日に新庄監督が発信した厳しい言葉も、素直に受け止めている。「こんだけチャンスを与えて2割2分以下の選手は、やっぱり(チャンスを)つかめなかったとしか判断できない」と、具体的な選手名を挙げてはいないが、報道を見た清宮の心にも刺さっていた。

清宮 誰が見てもそう思うと思う。僕は打ち続けるしかない。自分のスイングをし続けるしかない。そこなのかなと思います。

1週間前に新庄監督から「指1本、短く持ってみ」と助言されていたバットの持ち方を、自身の判断で「長く持って打っちゃった」。ばつが悪そうに明かしたが、実はBIGBOSSも気付いており、「今日はちょっと(グリップエンドに)小指をかけて…感覚をつかんだんでしょうね。それでいいんですよ」と、おとがめなし。清宮も「今日で満足しないように、また明日やるだけです」。残り14試合、打ち続ける。【木下大輔】

▽日本ハム新庄監督(清宮に)「(第1打席の)三振を見て、隣に座っていた杉谷君に『次の打席、三振したら、代打。もう用意しておいて』。そしたら、ホームラン打った…。(杉谷が)『もう、いいっすかね?』(新庄監督は)『お疲れ!』(笑い)」

○…清水がスクイズに適時打と、約1カ月ぶりの打点をマークした。4試合ぶりに先発出場。1-2の4回無死一、三塁から同点スクイズを決めると、4-2の5回は2死一、三塁から中前適時打を放った。「上沢さんのためにも、次の1点が大事だと思っていたので、気合を入れていきました」。バッテリーを組むエースを強力に援護した。

○…上沢が7回6安打3失点で8勝目。19年4月20日から9連敗中だった“ロッテの呪い”を解き「呪い解けたっす、やっと。呪い解けたのマジでうれしい」と大喜びだ。序盤は制球が大荒れも「3回から真剣に投げるのを止めました、いい意味で」。機転を利かせた脱力投法で、ロッテ戦では自身13試合ぶりの勝利。「首の皮1枚」という2年連続の2桁勝利も視界に捉えた。

○…堅守の内野手として知られる中島が、14年目で初の中堅守備に就いた。代打で途中出場し、そのまま7回から中堅へ。公式戦では左翼を守った14年7月8日楽天戦以来の外野守備。守備機会は中前打を処理した2度だけも、新庄監督は「抑えの投手じゃないけど、抑えの守備的な感じでも面白い。試してみようと」。俊足と球際の強さを評価した、新たな起用法を披露した。

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