「村神様」が「世界のホームラン王」に肩を並べた!! ヤクルト村上宗隆内野手(22)が55号3ランを放ち、日本選手最多となる64年王貞治(巨人)のシーズン55本塁打に並んだ。5点を追う9回2死一、二塁、巨人大勢から左中間席へたたき込んだ。4回には巨人菅野からも54号ソロ。1試合2本以上のマルチ本塁打は今季12度目となり、11度で並んでいた85年バース(阪神)、85年落合(ロッテ)、13年バレンティン(ヤクルト)を上回る日本記録となった。

   ◇   ◇

日本新記録の5打席連発、史上最年少での50号に続き、村上がまたも神宮で歴史的な1発を放った。9回2死一、二塁。1ボールから大勢の2球目、外角直球を逆らわずに捉えた打球が、左中間席に弾んだ。その瞬間、打球の行方を真っすぐ見つめ、55号を確信したかのように、ゆっくりと歩き出した。

「並べたということは、ほんとにすごく光栄ですし、うれしいこと。僕1人の力では達成できない記録。まずは丈夫な体に産んでくれた両親に感謝して、支えてくれた周りの方に感謝したいなと思います」

新たな金字塔になる1発を刻み、王貞治、01年ローズ(近鉄)、02年カブレラ(西武)に並ぶシーズン歴代2位タイに浮上した。

ノムさんとの“約束”を果たした。1年目の18年春季キャンプで、ヤクルト元監督で20年2月に亡くなった野村克也さんと初対面。「俺の記録を破れ」などとゲキをとばされた。村上は「野村克也さんには、王さんの記録に並んだり、破ったりと、1年目に言われたので。王さんに肩を並べて記録を達成できたところで、野村克也さんに報告したいなと思います」と言う。面識はその時だけだったというが「あの一瞬で声をかけてくれて、僕の可能性を期待してくれたところにすごく感謝してますし。ほんとに今は何で、そういうことを言ったのかな? というのを聞きたい気持ちでいっぱいです」と、しみじみと話した。

1点を追う4回無死では、ここまでノーアーチに抑えられていた巨人菅野の初球を右翼席上段に運んだ。9日広島戦以来、4試合ぶりの1発で、85年バース(阪神)に並ぶ54号。この1発が今季129打点目となり、故郷熊本の大先輩で「打撃の神様」と呼ばれた49年川上哲治(巨人)に並んだ。さらに55号3ランで132打点まで数字を積み上げ、13年、18年にバレンティンがマークした131打点を上回る球団記録となった。

前日に受けた死球の影響もみじんも感じさせなかった。12日DeNA戦の8回1死、エスコバーの155キロ直球が右太ももを直撃。苦悶(くもん)の表情を浮かべて一塁に向かった。その裏の守備に就かずベンチに退き、心配されたが「(痛みは)多少はありますけど、全然動ける範囲なので、大丈夫です」。フル出場で最高の結果を残した。

「56本目を打ちたいなと思います。次へ次へと、しっかりホームランを打ちたいなと思います」と冷静に語る主砲。残り15試合。13年バレンティン(ヤクルト)の日本記録60発も、いよいよ視界に入ってきた。【鈴木正章】

【関連記事】ヤクルトニュース一覧