今季限りでの現役引退を表明した能見篤史投手兼任コーチ(43)が16日、京セラドーム大阪で会見を開いた。阪神で16年、オリックスで2年。5度の2桁勝利など通算104勝を挙げた名左腕だった。昨年は兼任コーチとしてオリックスの25年ぶり優勝に貢献した。

「本当に悔いなくというか。18年という長い現役生活。やり切ったなという感じです」

現役引退の決意は「正直に言いますと、昨年もう1年契約した時にその意思は一応(球団に)伝えてたのでそんな感じです」と笑った。

現役引退を決めた理由は「(コーチ)兼任という立場。自分が投げるよりも、選手が試合の中で成長していく姿がうれしかった。その時点で選手としての自分の気持ちもだいぶ薄れてたので、それが1番の理由」と明かした。

中嶋監督とは「監督室でお話をさせていただいて、『ほんとに辞めんの?』、『もう少しあがけ』と言ってもらった。ただ、自分の中でも気持ち(の整理)がついているので、僕の意思は伝えました」と、指揮官とのやりとりを明かした。

能見は、04年に自由獲得枠で大阪ガスから阪神に入団。エースとして活躍し、21年に兼任コーチでオリックスに移籍。阪神在籍16年間には「非常に濃かった。16年。終わってみればあっという間というか」と白い歯をみせた。

オリックスは来季もコーチ専任契約のオファーをしている。今後については「まだすぐなので、本当にこれから。僕だけじゃなく家族とも相談しないと」と父親の顔を見せた。

◆能見篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日、兵庫県生まれ。鳥取城北-大阪ガスを経て04年ドラフト自由枠で阪神入団。12年に最多奪三振。14年には5試合連続2桁奪三振のセ・リーグ新記録をマーク。13年WBC日本代表。20年オフに阪神を退団し、兼任コーチでオリックス移籍。オールスター出場2度。阪神での通算1496奪三振は球団歴代4位。阪神とオリックスの2球団で最年長ホールドとセーブの記録を保持。180センチ、74キロ。左投げ左打ち。

▽阪神矢野監督 自分というのをしっかり持った投手やった。常に右バッターのインサイドを大事にしながら、キャンプでもずっとそれを軸に投げてる姿っていうのはすごい印象にある。気持ちも表に出ない強さ。いい意味で気持ちのブレを作らない。それは本人の努力だと思う。太られへんから、もうデッカいにぎり飯食って、体重を必死に増やそうとして。そういうのを覚えている。

▽阪神福原投手コーチ 本当にお疲れさまというか、ずっと一緒に長くやらしてもらったので、さみしい気持ちもあります。本当に頑張ったなと。やっぱりね、練習している姿とか姿勢とか、すごい後輩にも参考になると思いますし、言葉でああしろ、こうしろとは言わないですけど、本当に行動で示すというか、そういう感じだった。

▽阪神梅野 本当に、気持ちと心の支えにもなっていました。オリックスに行ってからも自分の状況を把握しながら電話をくれたりとか。本当に何でも気にしてくれる、すごい野球人としても人としても大好きな先輩。「お前がやっていかないとチームとしてもまとまっていかない」とか、そういう言葉は本当に自分にとって力になるし、今後の活力でもあると思います。