静岡産大が2003年春以来、39季ぶり3度目のリーグ制覇を達成した。最終戦で東海大静岡に10-8で勝利。一時は同点とされるも、5回に9番大野真生(まさき)内野手(3年=浜松学院高出)が決勝打を放った。続く第2試合で、11勝2敗の首位で並んでいた静岡大が日大国際関係に0-3で敗戦。静岡産大が最終日までもつれた優勝争いを制し、栄冠を手にした。22日開幕の東海大会(岐阜)に出場する。

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午後4時41分。グラウンド脇で戦況を見守っていた静岡産大ナインに、待望の瞬間が訪れた。優勝争いを演じたライバル静岡大が敗戦。2003年春を最後に、19年半届かなかった頂点に立った。萩原輝久監督(58)は「良いものですね。本当にありがたい」。指揮官として手にした初タイトルをかみしめ、教え子の手で4度宙を舞った。

逆転Vには「勝利」が必須条件だった東海大静岡との最終戦。4点差を追いつかれて迎えた5回2死満塁、大野が右翼フェンス直撃の2点二塁打。勝ち越しに成功し、そのまま振りきった。大野は4回にも走者一掃の3点三塁打を放つなど、二塁打1本と三塁打2本で計5打点。「普段、長打は1季で1本打てるか打てないか。びっくりです」と驚きを隠せない。重圧のかかる大一番で、チームを躍動させた。

18年に萩原監督が2度目の就任。学校生活から、取り組む姿勢を見直した。今春のリーグ戦後には、グラウンドのごみ拾いも始めた。この意識改革が、徐々に野球にも“伝染”した。谷川智也主将(4年=天竜高出)は「自主練習に励む人数、1人1人の練習量も増えたと思う」。休暇期間以外は、授業との兼ね合いで全体練習が実施できない中、各自が課題と向き合ってきた成果だった。

岐阜代表2チームと三重代表1チームと争う東海大会まで、約2週間。指揮官は「静岡代表としての責任もある。下手な試合はできない。しっかり、良い準備をしていきたい」と結んだ。まだまだ、高みを目指す。【前田和哉】