東北大学野球界のNO・1投手が、プロへの扉を開く。20日、ドラフト会議が行われる。

富士大(岩手)の最速150キロ右腕、金村尚真投手(4年=岡山学芸館)は、精密機械のような制球力を誇り、上位候補に名前が挙がる。昨年の東北勢は、ノースアジア大明桜(秋田)・風間球打投手(19)がソフトバンク、東北福祉大(宮城)・椋木蓮投手(22)がオリックスから1位指名された。12球団から調査書が届いているという金村も、東北勢2年連続のドラ1を目指す。

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「ミレニアム世代」屈指の投手へ-。ドラフト会議を控えて金村は「行くからには1位で、という思いは強いです」。今秋リーグ戦で5季連続優勝を逃し、9月18日に全公式戦が終了。その後も週6日の全体練習に参加し、紅白戦登板など普段通りに過ごしてきた。制球力は一級品。12球団から調査書が届き、即戦力として評価は高い。「長年やるのも目標ですが、常に勝てる投手になりたいと思います」。チームの勝ち頭であり続けることが理想だ。

金村と同じ00、01年生まれのプロ野球選手は、「カナノウ旋風」に沸いた18年夏の甲子園で活躍した逸材が多い。大阪桐蔭・根尾昂(22=中日)、藤原恭大(22=ロッテ)、金足農(秋田)・吉田輝星(21=日本ハム)、報徳学園(兵庫)・小園海斗(22=広島)は、いずれも高卒ドラフト1位として入団した。

高校3年時に最速147キロを誇った金村も「甲子園に出てプロ志望届」を思い描いていた。だが、岡山大会決勝で2年生エース西純矢(21=阪神)を擁する創志学園に敗戦。「甲子園に出る人は、自分よりももっとすごいんだろうな、自分はまだまだだな」と大学経由でのプロ入りを誓った。

富士大で1年春から登板し「指標最強」と言われるまで進化した。主なリーグ戦の通算成績は36試合で25勝4敗、投球回は236回1/3、防御率0・88(24失点、自責23)、被打率1割7分8厘(被安打147、被本塁打2)、与四死球率0・99(26四死球)、奪三振率9・90(260奪三振)、11完封含む14完投。3年春に完全試合も達成した。

「自分の野球人生で一番成長できたのが大学4年間」と変化を恐れず、さまざまなフォームにトライした。大学2年時からウエートトレーニングに注力し、平均球速は入学後から5キロ近くアップ。与四死球率が示すように、少年時代から武器にする制球力にも磨きがかかった。

「周りから評価されているのはコントロールやゲームメーク能力、四球を出さないとかだと思いますが、自分的には、どんどん真っすぐで押していき、真っすぐで勝負できる投手になりたいです」

東北の大学最強右腕が、ドラ1でプロの舞台に飛び込む。【山田愛斗】

 

◆金村尚真(かねむら・しょうま)2000年(平12)8月29日生まれ、沖縄県豊見城市出身。上田小3年時から野球を始め、豊見城中では軟式野球部。同中3年時には侍ジャパンU-15に選出。岡山学芸館では1年春からベンチ入り。3年夏に県大会準優勝。富士大では1年春からリーグ戦に出場。176センチ、83キロ。右投げ右打ち。血液型O。家族は両親と妹。