井川2世になる! 阪神からドラフト2位で指名された東海大札幌・門別啓人投手(18)が23日、札幌市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金6000万円、年俸720万円で仮契約した。井川を連想させる、コースを突く右打者へのクロスファイアが武器。井川以来の、高卒左腕での先発ローテーション定着のため、これから鍛えていく。

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門別はレジェンド左腕の名前を出されると、照れながら謙遜した。「自分は正直似てないと思うけど…言っていただけるだけでうれしいです」。周囲からも井川の投げ方や雰囲気がどことなく似ていると言われている。さらに高卒、ドラフト2位指名、左腕という共通点。意識しないはずはない。

仮契約に出席した、葛西担当スカウトも井川に負けないポテンシャルを感じていた。「非常に体がしっかりして、エンジンも(井川)と似ていると思います。直球で押せるところが少し似ていると思いますけど、まだ高校生。でもそこを目指していける素材だと思います」と期待を寄せた。

183センチの大型な体から繰り出す、右打者の内角をえぐる球が武器。エースとして君臨した左腕をほうふつとさせるクロスファイアで相手を寄せつけない。「自分の持ち味が、右バッターに対するインコースのクロスファイア。そこは負けないようにしたい」と力を込めた。

大先輩は優勝した03年に20勝を挙げて沢村賞にも輝いた。岡田監督が指揮した05年にもフル稼働し、13勝でリーグVに貢献。3度の奪三振タイトル獲得が示すとおりKマークを量産した。門別も猛虎の歴史に刻む左腕を知るだけに「井川選手に似ているとすごく言っていただける。そういう選手になれるようにこれから頑張りたい」と意気込む。

阪神では井川以降、生え抜きの高卒左腕が大成した例はない。井川級の活躍をするためにもまずはしっかりと基礎体力の向上に取り組む。「体造りをしながら、自分でもできるだけ早く1軍で投げたいと思っている。そこを目指して頑張っていきたい」。ドクターKの再来へ、門別が次世代のエースになってみせる。【三宅ひとみ】

 

◆阪神時代の井川 97年ドラフト2位で、水戸商(茨城)から入団した。大型左腕として、01年に9勝を挙げ、02年14勝と頭角を現す。03年には20勝5敗、防御率2・80という圧倒的な成績をマーク。最多勝、最優秀防御率、最高勝率、沢村賞、MVPに輝いた。04年10月4日広島戦ではノーヒットノーランを達成。02、04、06年に最多奪三振。06年オフにポスティングを申請し、ヤンキースに移籍した。阪神在籍時86勝は、左腕では4位((1)江夏豊159勝(2)山本和行116勝(3)能見篤史104勝)。

 

○…レジェンドの背中も追う。ノルディックスキー・ジャンプで14年ソチ五輪銀メダルの葛西紀明(50)は東海大札幌の先輩(葛西が在学時は東海大四)。直接の面識はないが、長年第一線で活躍していることに「葛西さんみたいに、ずっと長くやっていけることが一番の理想。自分も長くやっていけるように頑張りたい。楽しめなくなったら続けられないと思うので、ずっと野球が好きでいられるようにしたいです」と笑顔だった。

 

門別啓人(もんべつ・けいと)アラカルト

◆生まれ 2004年(平16)7月10日、北海道・日高町

◆球歴 日高町立富川小1年の時に富川野球スポーツ少年団で野球を始め、小6でファイターズジュニアに選出。富川中では軟式野球部に所属。高校では1年秋から背番号1でベンチ入り。2年秋の全道大会から3年夏の南北海道大会まで3季連続道大会4強。甲子園出場はなし

◆持ち球 直球、カーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシーム、最速150キロ

◆特技 バスケットボール、スピードスケート、アルペンスキー

◆珍名 及川や桐敷と珍しい名前の左腕が並ぶ中、「尊敬している先輩ではあるけれど、その先輩方を超えられるような存在になりたい」

◆血液型 A

◆サイズ 183センチ、86キロ、左投げ左打ち、足のサイズは29センチ

◆家族 両親