2年後のプロ入りを目指して力をつける。

東京6大学野球の東大・井沢駿介投手(4年=札幌南)が、社会人のNTT西日本(大阪市)に進む。最速144キロ右腕は、今秋のドラフト会議で指名漏れ。悔しさをぶつけるべく、上の舞台を目指して社会人野球でレベルアップを図る。

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井沢が社会人野球でのプレー続行を決意した。「大学に入ってから年々、自分の中でも成長の手応えはあって。そこで(プロ)志望届を出したけどダメだった。でもまだいけるんじゃないかという気持ちも大きくて」と思いを口にした。

今秋の東京6大学リーグ開幕直前の9月8日にプロ志望届を提出した。だが、10月20日のドラフト会議当日に名前が呼ばれることはなかった。「指名されるのは厳しいかなというのはあったけど、やっぱり悔しさはある。それがまた続ける原動力というか、きっかけになったというのはある」と野球を継続する理由を明かした。

プロ一本で考えていたこともあり、就職活動は一切していなかった。指名漏れした時は東大大学院への進学も考えていたが、野球のできる道を選び、NTT西日本への入社を決めた。電電近畿時代の65年に都市対抗野球優勝経験を持ち、05年日本選手権で準優勝しているチームに「関西でトップを争うような強いチームという印象」と気を引き締める。

農学部に在籍で今は大学の卒業論文提出が迫り、多忙な日々を送っている。午前11時から午後6時くらいまで研究室で実験に没頭する日もある。「合間にちょっと運動やトレーニングをして、1日がすぐ終わっちゃうという感じですね」。今後は1月上旬にチームへの合流を予定しており「そこに向けて最低限動かしながら」とウエートトレーニングやキャッチボールで調整を重ねている。

札幌南を卒業後、1浪して最難関の東大進学という道を歩んだが、小さいころから夢見てきたプロ野球への憧れは今も変わらない。「目標に据えるものだと思う。そこを目指して頑張ろうかなと思っています。ドラフトで指名はなかったけど、まだまだ自分では伸びしろはあると思っている。そこは諦めずに頑張りたい」と2年後のプロ入りへ鍛錬を積む。【山崎純一】

◆主な東大出身の社会人野球選手 08年卒の重信拓哉投手が明治安田生命でプレーしたほか、16年卒の飯田裕太内野手が東邦ガスで20年の都市対抗に出場した。今年卒業した選手では奥野雄介投手が三菱自動車倉敷、井上慶秀内野手が三菱自動車岡崎でプレーを続けている。

◆井沢駿介(いざわ・しゅんすけ) 2001年(平13)1月6日、札幌市生まれ。札幌青葉小1年時に青葉シャークスで野球を始める。札幌青葉中時代は軟式。札幌南では高校3年夏に背番号1をつけ北海に地区代表決定戦で敗退。東大ではリーグ通算40試合に登板し2勝21敗、昨年9月26日の立大戦でリーグ戦初勝利、今年9月17日の慶大戦で2勝目を挙げた。最速144キロ。50メートル走6秒3、遠投105メートル、目標の選手はダルビッシュ有。趣味はサウナと岩盤浴。好きな食べ物はすしと札幌みそラーメン。家族は両親と兄2人。血液型A。180センチ、84キロ。右投げ右打ち。