阪神からドラフト指名を受けた7選手が6日、兵庫・西宮市の選手寮「虎風荘」に入寮した。同2位の門別啓人投手(18)は、脳腫瘍のため5歳で他界した妹、心奈(ここな)さんの名前が刺しゅうされたグラブを持参。他の6選手もそれぞれ思い入れの深いマイアイテムを持参し、タテジマでの活躍を誓った。

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黒地にピンクのひもが映えた華やかなグラブ。親指部分に「M.cocona」の文字が刻まれている。門別はわずか5歳で他界した妹、心奈さんの名前を、高校で初めてオーダーグラブを作成した時から入れている。「自分の妹の名前を入れて、プロでやっていこうと思いました」と決意を明かした。

高校時代は、自身の名前の啓人(けいと)をもじった「K8」とともにグラブの内側に刻んできた。プロ野球では道具の規則が緩まるため、より見えやすい外側に移動させたという。 「高校時代に(グラブを)作った時に妹の名前を見て気持ちが入ってすごかった。今回も妹の名前を入れて気持ちを入れて頑張れたらと思って入れました」。東海大札幌での最後の夏は南北海道4強で甲子園には届かなかったが、最速150キロをマークし、プロ注目の左腕に成長した。一緒に戦ってくれた妹がパワーを与えてくれた。プロでも感謝を込め、一緒に勝利を目指す。 今回、「K8」のそばに新たにスペイン語の「Elevar(エレバール)」の文字を刺しゅうした。「上昇」という意味にこだわり、さまざまな言語を調べた中で響きの良いものを選んだという。現状に満足はしない。「もっともっと上に上にっていう意識でやっていければと思います」。旺盛な向上心で、1日も早い1軍デビューを目指す。 故郷は競走馬の産地で有名な北海道・日高町。さまざまな思いを込めたグラブとともに、直線距離で約1000キロを超え、関西で勝負する。同4位の帝京長岡・茨木秀俊投手(18)とともに、阪神投手陣で最年少となる道産子左腕。「明るくて、礼儀正しい人だと認識してもらえるようにやっていきたい」と襟を正した。「高校では、野球にすごく専念してやる気持ちでやっていましたが、それ以上の気持ちを持ってやらないとプロでやっていけない」と気合十分。妹と一緒に、甲子園で腕を振る日を夢見る。【波部俊之介】

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