関甲新学生野球春季1部リーグは8日に開幕する。新潟医療福祉大の大久保翔太中堅手(4年)はNPB入りへ、待ったなしのシーズンを迎える。50メートル走5秒7の俊足1番打者は2年春に打率4割5分2厘で首位打者を獲得。以後は故障続きだっただけに完治した今季は真価が問われる。

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試合でユニホームがどれだけ汚れているかが、新潟医療福祉大・大久保の好不調を測るバロメーターだ。「泥臭く」が信条。「ユニホームがドロドロになった時はチームに貢献していると感じる」。そんなプレーが走攻守にわたってできる下地がようやく整った。悩まされてきた肉離れの故障は完全に癒えた。

大久保は2年春に4タイトルを獲得している。打率4割5分2厘で首位打者、安打19本の最多安打。さらにベストナイン(外野手)に新人賞。だが度重なる肉離れで活躍の場が減った。2年春の終盤に右太ももの肉離れ。同年夏の左太もも裏肉離れが追い打ちをかけた。2年の秋と冬には両足太もも肉離れを発症し、2年秋はリーグ戦出場はゼロ。3年時は故障の不安を抱えながらプレーしていた。

「また肉離れになるのでは、と時限爆弾を抱えているようで怖かった」。そう話す大久保にとって故障が完治した今季は“逆襲の春”だ。「在学中にまだ勝利の経験がない上武大を倒したい」と話すが、NPB入りをアピールするための戦いが待っている。年明けから複数の球団スカウトが練習訪問。「プロを目指したい。挑戦できる立場にいるなら全力で追い求める」と言う。「バットに球にぶつけるだけでいい」と50メートル走5秒7の足を生かす打撃に徹していたスイングも強振型に変更。「今年は強い打球を打つのを自分のスタイルにしたい」と大久保は開幕を待ち望んでいた。【涌井幹雄】

 

◆大久保翔太(おおくぼ・しょうた)2001年(平13)6月27日生まれ、茨城県出身。野球を始めたのは小1から。中学時代は取手シニア(茨城)に所属。関東第一高(東京)3年の夏甲子園で8強入り。174センチ、67キロ。右投げ左打ち。