大学野球にも春到来-。8日、仙台6大学野球が開幕し、昨秋王者の仙台大が東北工大に10-2と貫禄勝ち。2回に1点先制を許したが、6回1死満塁、伊藤颯内野手(3年=鶴岡東)の左前2点適時打で2-1と逆転。この回に4点を挙げ、以降毎回の得点で10得点の快勝。同大初の2季連続優勝へ、好スタートを切った。

東北福祉大は宮城教育大に8-1の8回コールド勝利。3投手の継投で、相手打線を翻弄(ほんろう)した。

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5回まで散発3安打無得点と沈黙していた打線を伊藤の一打がたたき起こした。「1打席目は真っすぐを打ったので、変化球で入ってくると思った」。初球、真ん中低めのスライダーを狙い打ち。鋭い打球は三遊間を突き破った。仙台大はこの一打から反撃を開始し、10得点の猛攻で東北工大を圧倒した。

開幕戦から3安打2打点と活躍した伊藤だが、実は2回の第1打席に放った中前安打が自身リーグ戦初安打。初のメンバー入りは2年春だが、出場は1度の代打のみ。2年秋には開幕戦でスタメンも、第1打席は無死満塁で遊併。第2打席は2死満塁で二飛。第3打席は1死満塁で空振り三振と、ことごとくチャンスをものにできず、スタメンから外れた。6回の満塁の場面では「(2年秋が)一瞬よみがえりました(笑い)。でも、絶対打ってやろうという気持ちで打ちました」。今度はチャンスをしっかりと得点につなげ、過去の悔しさを払拭(ふっしょく)してみせた。

鶴岡東(山形)出身者が仙台6大学で躍動する。伊藤は、東北福祉大の山路将太郎(3年=鶴岡東)、東北学院大の小林三邦(3年=鶴岡東)をライバル視。3人は20年の甲子園交流試合メンバーで、日本航空石川(石川)と対戦した試合では、3人全員が安打を放ってチームは5-3で勝利した。伊藤は「2人には負けたくない」と闘志を燃やす。3安打2打点と最高の形で開幕を迎えた満塁男がこの春、ライバルに負けじと活躍する。【濱本神威】

○…東北福祉大先発の佐々木繕貴(4年=古川学園)が5回1/3を投げて4安打1失点と力投。「冬の期間にやってきたストライク率を重視した練習が発揮できたのかなという試合になった」と満足げに語った。1失点こそ喫したものの無四球と自慢の制球力で相手を翻弄(ほんろう)。昨年9月に、オーバースローからサイドスロー気味に変更したことも奏功した。佐々木の降板後は浅野駿吾(4年=遠軽)、北畑玲央(4年=佐久長聖)ら4年生の継投で勝利をつかんだ。