<東都大学野球:青学大2-1日大>◇第2週第2日◇27日◇神宮球場

青学大で今秋のドラフト候補に挙がる最速153キロ右腕・常広羽也斗投手(4年=大分舞鶴)が6安打8奪三振で今季2勝目の完投勝利をマークした。エースの好投に応え、同点で迎えた8回、代打のルーキー、谷口勇人外野手(1年=大阪桐蔭)が勝ち越しの決勝ソロ本塁打で、チームは2連勝で勝ち点2とした。中大と国学院大は、それぞれ1勝1敗とした。

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体調不良から復活のマウンドに、常広はエースの覚悟を決めた。前半は真っすぐを軸に投球し、後半はキレのいいフォークを低めに集めて空振りを奪った。

前週行われた1戦目は、発熱による体調不良のため休養。寮の部屋で、ベッドに横になり戦況をうかがった。「(チームの勝利に)スゴいなぁと思って見ていました。でも…悲しかった。泣きそうでした(笑い)」。自分がいないチームが勝利をつかむ姿に、喜び半面、悔しさを感じた。

エースの信頼を取り戻すために。6日駒大戦以来のマウンドに「体が動きすぎてボールが浮いてしまった」と、立ち上がりは制球に苦しみ、初回に1失点。「覚悟を決めろ」と、中野真博コーチ(46)に声をかけられ目が覚めた。低めに丁寧に制球し、打線につなげた。

常広にはもう1つの覚悟がある。国立大を目指し大分舞鶴に進学し、勉強と野球を両立していたが、少しずつ球速が上がり野球に心を奪われた。「勉強で東大を目指すか、野球でプロ野球選手を目指すか。何が一番楽しいかを考えたら野球だった」。高校2年で覚悟を決め、野球と向き合い青学大へ進学。ドラフト上位候補にまで上り詰めた。

エースとして、そして夢実現のため。気持ちの強さも大きな武器に、覚悟の年を突き進む。【保坂淑子】