甲子園の虎党を一斉に立ち上がらせた。阪神大山悠輔内野手(28)が一時は逆転弾となる7号3ランで激戦を演出した。3点リードを逆転され、1点を追う展開となった5回1死一、三塁。ロッテ小島の内角低め144キロ直球をコンパクトに振り抜いた。夜空に高々と打ち上げ、左翼席の飛距離121メートル弾。沈滞ムードを一瞬で振り払った。

「逆転されてしまった裏の攻撃で、チカ(先頭で二塁打の近本)の出塁が雰囲気をつくってくれました。打球も上がってくれましたし、スタンドまで届いてくれてよかったです」

今カードのロッテ3連戦初戦はバックスクリーンに先制3ラン。2戦目は佐々木朗から決勝打を放った。3試合連続打点で今季36打点まで増やし、DeNA牧に並んでセ・リーグトップに浮上した。岡田監督も値千金の1発に「そらあそこでなあ、逆転したわけやからなあ」と納得顔だ。

開幕から不動の4番。覚悟を胸に打席に向かっている。5番は佐藤輝、6番にはルーキー森下、来日1年目のミエセスらが並ぶ打線。「5、6番を打つ選手は僕より年齢も経験も下になる。まずは自分でしっかり打てるように。逆に僕が引っ張っていけるくらいじゃないといけない。(仲間を)頼りにしていますけど、一緒に頑張りながらも、自分でしっかりやっていきたい」。強い責任感が日々体を突き動かしている。

チームは今季初の9連戦の3分の1を消化。仙台で楽天との3連戦を終えると今週末には北海道で昨季1試合3本塁打を放った、日本ハム戦が控える。この日は9回裏にも左越え二塁打を放つなど好調をキープ。「明日からも試合があるので、しっかり反省して、いい準備をして頑張ります」。毎年インパクトを残す交流戦。23年も再び無双の予感が漂う。【三宅ひとみ】

■ノイジー20打席ぶりヒット

阪神ノイジーが長いトンネルを抜けた。1点リードの3回2死二塁。ロッテ小島から右前打を放ち、二塁走者を生還させた。5月30日西武戦以来、20打席ぶりの安打となった。「得点圏の打席でチームにいい流れを、と思っていた。少しタイミングを外されてしまったけど、なんとか打つことができてよかった」。

この試合まで直近10試合で40打数4安打。2日の練習前には岡田監督直々に、クラブハウスで指導を行った。長くなっていたスイング軌道を指摘し、最短距離での打撃を伝えたという。ノイジー本人も「そっちの方がシンプルに考えられて、自分のスイングができると思う」と感謝していた。だが、6打席で安打はこの1本のみ。試合後に指揮官は「1本右打ったら復調やないよ。そういうふうには見えへんけどなぁ」と、より高いレベルを求めた。