高卒2年目の前川右京外野手(20)がプロ初の長打を含むマルチ安打で1軍生き残りへ猛アピールした。初回2死で日本ハム先発鈴木の直球をフルスイングし、右前打。初のエスコンフィールドでチーム初安打を記録。他の野手が苦戦した下手投げの投手を攻略した。

「1打席目から1本出たので、ちょっと気持ちを楽にしていけた」

あと1歩でプロ1号になりそうな大飛球も飛ばした。8回2死の第4打席。2球目の直球をフルスイングしてから、頭の中を「どこか修正しないと」と整理。カウント1-1から3番手池田の外角直球をコンパクトにスイングし、左翼フェンス直撃の二塁打を放った。これがプロ初の長打。「いい感じにコンタクトできたので良かった」と徐々に手応えをつかんでいる。

守備も無難にこなした。ここまで先発出場した4試合はすべてDHだったが、この日は右翼で起用された。試合前には、守備の名手・近本と会話して最終確認をして臨んだ。失策することなく、送球も乱れなかった。「1軍に上がって初めての守備機会。いい緊張感で守れた」とほっとした様子だった。

反省もあった。初回に安打を放ち、続く大山の中前打で三塁を狙ったが、中堅手江越の好返球にタッチアウト。「次の打者もテルさん(佐藤輝)だったので、周りを見ていけたら良かった」。失敗も成長の糧につなげる。

日本ハム戦が終われば、残り2カードは本拠地甲子園での開催となり、DH制はない。1軍生き残りをかけた打席で結果を残した。岡田監督も「打ってるから3番入れてるやんか。ええやんか、3番入れて打ったら」と評価。10日の相手先発は右腕伊藤大で先発の可能性がある。「しっかり、1打席1打席を頑張ります」。侍戦士から快音を響かせ、1軍定着を揺るぎないものにする。【三宅ひとみ】